■安美・負け越し(2場所ぶり)■東奥日報(2019/05/27付) |
7勝7敗で千秋楽を迎えた十両10枚目の安美錦(深浦町出身)は、豊山に押し出しで敗れて2場所ぷりの負け越し。来揚所は再び、十両残留へ後のない戦いを強いられることになりそうだが、「土俵に立てることを前向きに捉えたい」と落ち込んだ様子はなかった。
6勝2敗で折り返した中日から一転、9日目から5連敗。両脚をはじめテーピングが目立つ体で相撲を取け続ける関取最年長の40歳は「1揚所1場所、戦い抜くことが精いっぱいの状況」と苦しさを隠さない。
惜しくも勝ち越しは逃したが、口ぷりは終始、前向きだった。その理由を問われると、「心の火なんてほとんど消えているようなもんなんで、自分で火をつけないと」と安美錦。現役にこだわる強い意志がにじんだ。 (佐々木大輔) |
■40歳安美錦通算1795回出場(史上3位タイ)■東奥日報(2019/05/19付) |
関取最年長で40歳の安美錦(深浦町出身)がまた一つ、偉大な記録に名を連ねた。美ノ海を土俵際で突き落とし、寺尾に並ぷ史上3位通算1795回出場に花を添えた。「寺尾さんのように鉄人でも何でもなく、体はぼろぼろだけど並べたことはうれしい。いい励みになっている」と素直に喜んだ。
まだ平成前半だった1997年初場所の初土俵から、長く現役生活を続けられる理由は謙虚な姿勢だ。「俺は全ての人が参考になると思って、誰の言葉でも素直に聞けるようにしている。そういうところは大事だね」と、しみじみと語った。 |
■安美 連敗ストップ■東奥日報(2019/01/27付) |
十両3枚目・安美錦(深浦町出身)は、満身の力で打った上手投げで、待望の2勝目をつかみ取った。荒鷲との投げ合いを制して連敗を11で止めた。負ければ幕下陥落が迫りかねない1戦。白星から見放された日々の中、今場所の途中で引退を決めた稀勢の里、豪風の存在を心の支えにし、「勝手に(二人の)思いを背負い、力に変えて土俵に上がっていた」と打ち明けた。
安美錦は2度目の立ち合いで左に飛んで上手を取ると、頭をつけてじっくリ勝機をうかがった。荒鷲が投げ返してきたが、最後は全身を預けて放った上手投げで、2日目以来の白星を挙げた。今場所は状態が悪くないにもかかわらず、13日目に自己ワーストの11連敗。「すごく不思議な感覚だけど、これも良い経験」(安美錦)と考え、土俵に立ち続けた。
十両残留を危ぷむ見方も出た。14日目の一番を前に、元関脇若の里の西岩親方(弘前市出身)は「これだけ負けが込むと落ち込んでしまうから、気持ちを奮い立たせられるかどうか」と案じた。
安美錦は、相次いで引退した二人の悔しさに思いをはせ、自らの糧にした。「あえて重圧を背負って土俵に上がった」。豪風が引退した日、「辞めたくて辞める人はいない」と口にしていた。40歳の最年長関取として「毎場所、覚悟を決めて相撲を取っている」と安美錦。志半ばに現役を退いたライバルたちの分まで、千秋楽の土俵に立つ。(佐々木大輔) |
■アミだけに網打ち 安美錦珍手■東奥日報(2018/11/17付) |
十両の安美錦(深浦町出身)が幕内最初の取組で珍しい決まり手を披露。大奄美に網打ちを決めた。幕内復帰を狙う40歳の相撲巧者は「アミだけに網打ち。それを言いたかった。何であれ、勝って良かった」とご機嫌だった。
大奄美の攻めに下がリながら相手の左腕を両手で抱え、倒れ込みながら後方に振って相手とともに土俵下に転がった。無我夢中だったようで「必死にしがみついて、最後はどんな感じだったか分からない。帰ってから(映像を)見てみよう」と笑みを浮かべた。 |
■史上8位 安美872勝目大鵬に並ぶ■東奥日報(2018/07/16付) |
安美錦は同じ39歳の豪風をはたき込み、通算872勝目を挙げた。昭和の大横綱、大鵬に並んで史上8位となり「長くやってきたご褒美じゃないが、うれしい。神様みたいな存在に肩を並ばせていただけるのは光栄」と静かに喜んだ。
立ち合いが合わず、3度目で立ったが落ち着いていた。「立ってこないということは何かある」と見抜いた。強烈な右張り手で機先を制し、右に回り込んで冷静にはたき込んだ。6勝2敗での折リ返しで、幕内復帰へも歩みを進め「目の前の相撲を一つ一つこなしていくしかない」と足元を見つめた。 |
■39歳安美錦再入幕へ「春場所勝ち越し」■東奥日報(2018/03/25付) |
大相撲東十両2枚目の安美錦は大阪市で開かれた春場所干秋楽の25日、西前頭15枚目の妙義龍にはたき込みで勝ち、8勝7敗と勝ち越しを決め、十両への陥落から1場所で再入幕を確実にした。
最初の立ち合いは手付き不十分で成立せず、2度目は安美錦が待ったをかけた。3度目で立っと、もろ手で突いた直後に右手で妙義龍の後頭部を押さえ込む形ではたきを決めた。
自身の記録を更新する、昭和以降最年長の39歳6カ帰での再入幕に、安美錦は「思い残すことはないんじゃないか。毎日最後だと思って上がっている。つながるというのはありがたいこと」と話した。 |
■東奥スポーツ大賞を受賞■東奥日報(2018/02/07付) |
21歳で新入幕を果たし、1月の初揚所で幕内在位96場所を迎えた。魁皇、旭天鵬、高見山に次いで歴代4位。幕内出揚、三賞獲得数と合わせ、いずれも現役力土最多を誇る。 力士人生を揺るがす大けがを乗り越え、昨年11月の九州場所では昭和以降、最年長の39歳で幕内に返り咲いた。多彩な技で初日から5連勝と気を吐いたが、10日目で7勝目を挙げた後4連敗。迎えた千秋楽、少年時代に父親からたたき込まれた出し投げで勝ち越しを決めた。12度目の三賞となる敢闘賞も受賞。取組後、テレビのインタビューで男泣きした。
2016年5月の夏揚所で左アキレス腱を断裂。次の名古屋場所は全休を余儀なくされ、12年ぷりに幕内から転落。引退が頭をよぎったという。
稽古を再開した当初は患部の痛みを恐れ、土俵を避けていた。師匠の伊勢ケ浜親方(つがる市出身、元横綱旭富士)は「相撲勘が鈍る」と土俵に入るよう助言。幕下以下の力士を相手に稽古量を増やし、十両下位から幕内を目指した。
大きく負け越せば、関取の座を失う番付。押し込まれると思うように相撲を取れず、もどかしさが募ったが、献身的に支えてくれる妻、白星を楽しみにしている子供たちのために気力を奮い立たせ、見事、幕内復帰を果たした。
関脇の経験もある実力者。横綱に勝っても涙を見せたことはなかったが、昨年の九州場所では「心配してくれた家族や応援してくれた人たちの顔が浮かんだら、こらえきれなくなった」。一緒に戦った家族のあリがたさが身に染みた。
前頭10枚目に番付を上げた1月の初場所は、古傷の右膝を痛めて途中休場。10日目に土俵に戻って幕内通算出揚は1379回となり、寺尾を抜き歴代4位となったが、けがの影響で本来の調子は取り戻せなかった。
それでも千秋楽は若手の成長株を相手に執念の3勝目。かつて主戦場だった幕内後半の土俵で、盛大な拍手を浴びた大ベテランは「ここでまた相撲を取りたい」。気持ちはもう来場所を向いている。 |
■安美燃えて白星■東奥日報(2018/01/29付) |
立ち合いで右張リ手を繰リ出し、すぐさま体を右に開いてはたき込みを決めた安美錦(深浦町出身)。「できる精いっぱいのことをやろうと思った」と話す通り、迷いのない取り口で今場所を白星で締めくくった。
右膝のけがで途中休場したものの「休んだら番付が下がるだけ」と再出場。右足の踏ん張リが利かず、力なく土俵を割る痛々しい相撲もあった。
「本来の相撲とは程遠い」と自覚するが、気力は衰えていない。干秋楽は相手が前頭筆頭のため幕内後半の土俵に上がリ、「よし、やってやろうと熱くなった。ここ(幕内後半)でまた相撲を取りたい」。西前頭10枚目で3勝9敗3休の厳しい結果となったが、静かな口調に再起への決意を込めた。 |
■再出場安美踏ん張れず■東奥日報(2018/01/24付) |
5日目の取組で石膝を負傷した安美錦(深浦町出身)は、5日ぶりに土俵に戻った。もともと両膝に古傷を抱えており、万全にはほど遠いが、「休んだら番付が下がるだけ」と再出場を決めた。
「思い切って押していこう」と決めた立ち合いは、千代翔馬に低く当たった。体を右に開いて右上手を取ったが、見せ場はここまで。まわしを取られると右膝から力が抜け、踏ん張れないまま一気に寄リ切られた。
この日で幕内出場が1379となり、寺尾を抜いて単独史上4位に浮上したが、「記録は記録で良かったんじゃないか」と感慨にふける様子はない。幾度もけがを乗リ越えてきた39歳は「踏ん張れないのは分かっている。考えてもしょうがない」と自らに言い聞かせ、「毎日が最後になってもいいと思って、精いっぱいやるだけ」と気を取り直した。 |
■まわし離さず安美初○■東奥日報(2018/01/16付) |
若手の台頭が注目される中、39歳の安美錦が元気に初白星を挙げ、観客を喜ばせた。干代丸に対し、左前まわしを引きつけて力強く寄リ切った。
「余裕はなかったけど、しがみついていった」と話す。必死にまわしを離さなかった左手親指の爪には血がにじんだ。度重なるけがを経験しながら、史上4位の幕内在位96場所目。先場所は史上2番目の高年齢三賞受賞となる敢闘賞に、涙を流した。荷物を入れる明け荷は穴が開くほど古くなり、以前使用したものを持ち出しているベテラン。「記者さん、新しいのを買ってよ」と上機嫌で、周囲を笑わせた。 |
■安美 耐えて耐えて歓喜■東奥日報(2017/11/19付) |
その涙に苦難を乗リ越えた喜びがにじんだ。安美錦は千秋楽で勝ち越しを決めると、感情を抑えられない。「勝ち負けがある世界なので、つらいことだらけですけど、まあこうやってね。良かったです」。昭和以降最年長の39歳Oカ月で再入幕した場所で12度目の三賞となる敢闘賞までつかみ、声を震わせた。
昨年夏場所で左アキレス腱(けん)を断裂した。治療やリハビリに耐え、十両で7場所費やして幕内に戻った、初日から5連勝するなど快調に星を重ねたが、10日目に7勝目を挙げた後に4連敗、「幕内では通用しないのかな」と不安がよぎった。
迎えた千秋楽。「しっかリ当たることだけを考えた」と、うるさい千代翔馬を受け止め、左を差して石上手を引く。相手が寄ると体を右に開いて上手出し投げ。満員御礼の館内を大いに沸かせた。
平幕のベテランの敢闘賞といえば、1950年夏場所に35歳で受賞した元大関名寄岩。幕内下位で9勝を挙げ「涙の敢闘賞」として語リ継がれ、映画や舞台に取り上げられた。それをほうふつとさせる奮闘に、師匠の伊勢ケ浜親方(つがる市出身、元横綱旭富士)は「今まで、こういう人がいましたか?三賞が10個あれば、10個あげたい」と賛辞を惜しまなかった。 同部屋の日馬富士の暴力問題に揺れたが、仲間と励まし合って耐えた。目標はもう一度、横綱や大関と勝負すること。「足元を見て、一歩一歩上がっていく」と言う元関脇一の挑戦は終わらない。 |
■深浦でも、闘っていたよ■東奥日報(2017/11/27付) |
「本当によく頑張った」。大相撲九州場所千秋楽の26日、安美錦関が勝ち越しと敢闘賞獲得を決めた瞬間、故郷・深浦町の実家は大きな歓声と拍手に包まれ、喜びに沸いた。苦しみながら勝ち取った8個目の自星。取組直後、涙を浮かべながらインタビューに応える安美錦関の姿に、両親らはもらい泣きした。
居間のテレビ前には、コップ酒を手にした父の杉野森清克さん(68)が陣取った。その後ろで母の和江さん(66)、祖母のつやさん(93)が画面を見つめる。妹の櫻庭愛美さん(36)、おいで鯵ケ沢中学校1年の燈君(12)、悠真ちゃん(2)、めいで修道小学校3年の希良さん(8)も安美錦関の取組を静かに待った。取組が近づくにつれ、清克さんの友人らも駆け付けた。
勝ち越しと敢闘賞を懸けた相手はモンゴル出身の千代翔馬関。県相撲連盟会長を務める清克さんは取組前、安美錦関の相撲について「ここ数日、相撲が雑になっている」と指摘。「疲れもたまっているだろうから、相手に組まれると勝つのは難しい」と予想した。
立ち合い、左四つに組んで出た安美錦関に「行け!」と叫ぷ両親ら。一瞬、引いて下がってしまう安美錦関に悲鳴が飛ぶ。だが、ここから安美錦関が業師ぶりを発揮。腰を落として相手の下手投げを封じ、見事な出し投げ。居間は歓喜に包まれた。
清克さんが小さな声で「よしっ」とうなずいた。小学生の頃、なかなか勝てない安美錦関に教え込んだ技が「出し投げ」だった。体が小さくても相手の動きを崩して勝機を見いだす取り口。一年を締めくくる一番で安美錦関が見せたのは、少年時代に父からたたき込まれた相撲だった。
昨年夏場所の取組で左アキレス腱を断裂。40歳を前にした年齢を考えれば、力士生命を左右する大けがだった。十両に番付を落とし、幕内復帰は難しいとの周囲の声に、清克さんも「正直、引退かと覚悟した」と振り返る。
しかし、安美錦関は違った。和江さんによると、他競技のスポーツ選手や多方面から効果的な治療法を聞いては取り入れ、リハビリに役立てていたという。
取組後、大相撲中継のインタビューで、約1年半ぶりに幕内の土俵に上がり、「通用するか不安だった」と涙ぐみながら明かした安美錦関。「家族も一緒に闘ってくれた」と語ると、和江さんは「深浦でも闘っていたよ」とテレビに向かって呼び掛け、涙をぬぐった。「ひざ、足首と調子が悪くて、思うように動けないのに…」と清克さんは声を詰まらせながら言った。「良い相撲だった。これこそ敢闘賞だ」 |
■安美は町の誇リ■ |
■青森の粘リ強さ■ |
◎大相撲深浦町後援会長の吉田満町長の話
勝ち越しは町民に元気を与えてくれる。よくぞここまで頑張った。安美錦関は町の誇り。大きなけがをしても諦めない精神力、真っすぐに相撲道を進む姿は尊敬に値する。これからもけがに気をつけて長く相撲を取ってほしい。 |
◎八角理事長(元横綱北勝海)の話
安美錦は大けがをよく乗り越えた。十両に落ちても気持ちを切らさず、青森県出身の粘り強さが出た。若い力士はその点を見習ってほしい。
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■安美錦、涙の敢闘賞■東奥日報(2017/11/27付) |
大相撲の関取で最年長39歳の西前頭13枚目・安美錦=本名杉野森竜児、深浦町出身、伊勢ケ浜部屋=が26日、福岡市の福岡国際センターで行われた九州場所千秋楽で、2015年11月の九州場所以来、2年ぶリに幕内での勝ち越しを果たし、新入幕以来2度目の敢闘賞も獲得した。
安美錦関は昨年5月の夏場所2日目の取組中に左アキレス腱を断裂し、その後十両に転落。復帰した同年9月の秋場所から徐々に番付を戻し、今揚所、昭和以降で最年長記録を更新する39歳0カ月で、8揚所ぶりに幕内に返り咲いた。
今場所は平幕では唯一、初日から5連勝して観客を沸かせ、10日目に勝ち越しに王手をかけたが、ここから5連敗と足踏み。7勝7敗で迎えた千秋楽は「勝てば敢闘賞」という条件付きで東前頭6枚目・千代翔馬関(26)=九重部屋=と対戦。上手出し投げで8勝目を挙げ、再入幕での勝ち越しに花を添え、勝ち名乗りを受けた土俵で感極まった表情を見せた。
安美錦関は本紙の取材に「最後に勝てて本当に良かった。たくさんの人に感謝したい。やっぱリ幕内の土俵は良いね」と話した。 |
■引き技巧み安美錦1敗守る■東奥日報(2017/11/19付) |
39歳の安美錦と38歳の豪風の一番は、幕内最年長に軍配が上がリ、1敗を守った。
頭で当たリ合い、すぐに右手で豪風の頭を抑える。相手の出足も利用して巧みにはたいた。安美錦は「しっかり当たっていった。すぐに反応できたから良かった」と満足そう。左アキレス腱(けん)断裂の重傷で番付を落としていたため、昨年春場所以来の対戦。「お互い高め合って、いい刺激になればいいかな」と話した。
安美錦戦は15勝16敗だった豪風は、さらに星が開いた。1秒余りで終わリ「あまリにも早く決まリすぎた。待ち望んでいた勝負なのに。すぐもう一回やらせてほしい」とリベンジに燃えた。 |
■39歳安美錦不屈5連勝■東奥日報(2017/11/17付) |
日馬富士の暴力問題、休場した照ノ富士など、暗い話題の目立つ伊勢ケ浜部屋で安美錦が躍動している。新入幕の大奄美を破リ、2015年春場所以来となる初日からの5連勝。39歳の大ベテランは「余裕はなかった。こうやって明日も相撲が取れるようにケアして準備したい」と話した。
左に変わリ気味に立ち上手を引いた。大奄美の寄りに後退し、土俵際で必死に残す。分厚いサポーターを巻いた両脚は悲鳴を上げていたが「稽古で感じたことがない力だった」と、下がリながら逆転の右すくい投げを決めた。
激闘から左手中指の爪は流血していた。師匠の伊勢ケ浜親方(つがる市出身、元横綱旭富士)は「自分から動いている。ちゃんと諦めずにやればこういう結果になる」とうなずいた。
昨年5月の夏場所で左アキレス腱(けん)断裂の重傷を負ったが、不屈の闘志で今場所、8場所ぶリに幕内に復帰した。39歳0カ月での再入幕は昭和以降1位の高齢昇進だ。 |
注目を浴びる存在となっていることにも「気にしても仕方がない。自分のことを考えながらやるしかない」と、平常心を強調する。
平幕で5連勝はただ一人となった。「まずは(今場所)勝ち越すこと」と目標は控えめだが、この日のような取リ口を見せられるとさらに期待をかけたくなる。(砂かぶり)
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■再人幕安美錦 涙の白星■東奥日報(2017/11/13付) |
昭和以降最年長となる39歳0ヵ月で再入幕を果たした安美錦(深浦町出身)は琴勇輝を破った。幕内力士としての白星は昨年5月の夏場所初日以来となる。
取組後は目を潤ませ「しっかり相撲を取るという気持ちで臨んだ。やっとここに戻ってきた」と笑顔を見せた。 立ち合いで、相手の2度の突っかけにも「分かっていた。心を乱さないようにいこうと思った」と冷静だった。
しっかリ当たって力強く押し、タイミングよく左上手投げを決めた。しっかリ懸賞も手にしたベテランは「稽古場でもしたことがない。体の動きだけで投げた」と意気揚々だった。 |
■県勢対決 安美錦に軍配■東奥日報(2017/09/22付) |
互いに勝ち越しを懸けた県勢対決は、抜群の相撲勘が光ったベテランに軍配が上がった。安美錦(深浦町出身)は新十両の大成道(八戸市出身)の挑戦を退け、4場所連続の給金直し。幕内復帰に一歩近づく白星に「若いのに負けないように盛リ上げたい」と静かに闘志を込めた。
大成道の馬力に思わず受け身に。右に回ってしのぎ、「我慢だ、我慢」と自分に言い聞かせ好機を探った。土俵際、右足一本で突き落とし。「いい内容とは言えないけど、取りあえず良かった」と涼しい顔で語った。
10月に39歳となる安美錦が来場所で幕内返り咲きを果たせば、昭和以降の最年長再入幕となる。この日は通算1654回出場で史上6位の高見山に並び、「気付いたら並んでた。うれしい」と感慨深げ。昨年夏場所の左アキレス腱(けん)断裂で、引退の危機に追い込まれながらも、見事に復活した業師は「まだまだこれから」と先を見据えた。
勝ち越しを阻まれた24歳の大成道は「かわし方とか、力の入れ方とか、うまいですね」と感服した様子。テレビで眺めていた先輩と同じ土俵に立ち、「力を出し切ったので、くよくよする相撲じゃない」とすがすがしかった。 |
■珍手勝ち 安美上機嫌■東奥日報(2017/09/16付) |
とっくりで一杯やるぞ! ○安美錦-琴勇輝●
●十両のベテランの安美錦が、同じ伊勢ケ浜部屋の大関照ノ富士を気遣った。左膝を痛めて休場したことに「強引な相撲を取ると、けがをしてしまう。やってしまったものはしょうがない」と話した。
▲安美錦自身は珍手の「とっくり投げ」で琴勇輝を下して4勝目。同じ本県出身の大成道が3日目に同じ技を決めており「巡業中に、とっくりで一杯やらないとな」と受け答えも巧みだった。 |
■安美、最年長十両V逃す■東奥日報(2017/05/29付) |
安美錦(深浦町出身)は9勝で並んだ錦木との対決に敗れ、38歳7ヵ月での戦後最年長の十両優勝を逃した。
錦木が倒れて一度は安美錦に軍配が上がったが、物言いがつき、安美錦の足が出たのが同時と見なされ取リ直しに。「下がるわけにはいかない」と突きで力強く前進した安美錦だが、左に回り込まれてついて行けず、はたきに屈した。
一年前に負った左アキレス腱(けん)断裂の大けがを乗リ越え、十両で優勝争いを演じたベテランに国技館は大いに沸いた。「あリがたい。熱くなったよ。声援に応えたかったね」と支度部屋で悔しさをにじませた安美錦。淡々とした表情のまま「来場所頑張る」と幕内復帰へ闘志を燃やした。 |
■安美、十両初負け越し■東奥日報(2017/01/20付) |
38歳の安美錦(深浦町出身)は、新入幕が懸かる宇良との新旧技巧派対決に敗れ、痛恨の8敗目を喫した。2000年初場所で関取の座に就いて以来、十両では初の負け越し。「精神的にきついけど、考えてもしょうがない」と必死に気持ちを切り替えた。
頭で当たり、はたいて崩し右すくい投げを打った。「悪くない攻めだった」と言うように一度は宇良の体を泳がせたが、逆にはたかれ背後を許し、送リ出しに土俵を割った。支度部屋で淡々と取組を振リ返り、「勝機を逃したかな」と首をひねった。
昨年夏場所で左アキレス腱(けん)を断裂し長期休場を余儀なくされ、平幕上位から番付を大きく落とした。復帰した昨年秋場所は万全とはほど遠かったが8勝7敗。続く九州場所も8勝を挙げた。十両の土俵で勝負強さを発揮してきたベテランは手痛い黒星にうつむきながらも、「毎日しっかり相撲をとるしかない」と自分に言い聞かせた。 |
■援護射撃になった■東奥日報(2015/11/23付) |
1勝差で追っていた松鳳山は安美錦に敗れ、・優勝決定戦に持ち込めなかった。頭を低くして立ったものの足が出ておらず、首を押さえ付けられてあっさリ手をついた。
安美錦は、福岡県出身で2敗だった松鳳山を下し、同部屋の日馬富士の優勝を助ける結果となり、「九州のファンは残念だったろうけどね。力を入れず、気楽に取って結果的に援護射撃になった」と語った。 |
■ベテラン確かな戦術眼■東奥日報(2015/03/14付) |
照ノ富士、逸ノ城の大型モンゴル勢が底知れぬ力を発揮する一方、36歳の安美錦もいぶレ銀の輝きを放っている。軽やかな動きで初日から6連勝。新関脇で8連勝した2007年秋揚所以来の快走だ。
佐田の海の出足に下がりながら右で突き落とし。「冷静に取れているね」とつぶやく。相手が左に寄って仕切ったのも見逃さず、警戒して無理に突っ込むのを避けた。
長年の経験で培った戦術眼。「しっかリ準備して勝負をするだけ。その積み重ねだから、連勝はたまたまだよ」と涼しい表情を浮かべた。
両膝には大きなサポーターが欠かせない。10年以上前に右の前十字靱帯(じんたい)を断裂し、一昨年には左の同じ箇所を部分断裂。墓礎運動中心の稽古だったが、今場所前は20番前後をこなす日もあった。十両昇進からずっと寄リ添う付け人は「四股だけの予定のはずが、目の前でガンガンやる照ノ富士らに突き動かされたように、申し合いに加わる日が多かった」と証言する。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「力士同士で肌を合わせないと相撲勘は薄れるからね」と目を細めた。
上位陣との対戦も期待される後半戦に向け、安美錦の姿勢にぷれはない。「相手が誰でも一緒。やることをやらなきゃ星は伸びない」。この淡々としたたたずまいも持ち味だ。
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■36歳安美も元気5連勝■東奥日報(2015/03/13付) |
■安美錦全勝内容は反省■東奥日報(2015/03/15付) |
■36歳のベテラン、安美錦が元気に5連勝とした。相撲巧者ぷりを発揮し、館内を沸かせている。低い攻めが身上の豪風には、立ち合いが鍵になる。頭からぶつかって先手を取ると、引きに乗じて左はずを利かせて前進。最後は右手で頭をはたき、素首落としで相手を土俵にはわせた。
流れるような攻撃に「どんどん自分から行こうという気持ちが出て、良かったんじゃないかな」と納得の様子だった。
一方の豪風は持ち昧を出せず、5連敗となった。「下から攻めていきたかったけど、相手に吸い込まれるようにやられた」と表現し、全身から悔しさをにじませた。 |
■36歳の安美錦が全勝を死守し、初日からの連勝で自已記録の8にあと一つとした。それでも「勝ちたいと思っているのか、硬くなっている」と反省し続けた。 松鳳山の押しに俵に詰まりながら、相手の腕を手繰る右引っ掛けで逆転。2日続けて防戦の内容に対し「踏み込みが悪い。もっと押し込まなければいけない」と分析する。
白鵬、弟弟子の照ノ富士とトツブを並走する展開だが、相撲巧者はあくまで内容を重視。「(連勝を)どこかで意識している。人間から欲を取リ除くのは、なかなか難しいね」と苦笑いした。 |
■安美、光る動きの良さ■東奥日報(2015/03/11付) |
■安美錦珍手で4連勝■東奥日報(2015/03/12付) |
■幕内で2番目に年長の36歳のベテラン、安美錦の動きの良さが光っている。3連勝を決めた一番は怪力の栃ノ心を手玉に取った。
突き、押しの応酬から機をみて左上手をつかむと、腰を落として振り回すような投げで何度も揺さぷる。下半身は崩れず、栃ノ心の力が出る左上手を与えない。休むことなく動き続けて力強く投げを決めた。
安美錦の相撲のうまさや姿勢を多くの力士が尊敬する。面目躍如の白星に「考えた通リの展開。自分から仕掛けていったからよかった」と一息ついた。栃の心は「やりづらい。いといと動いてくるから」と脱帽するしかなかった。 |
■相撲巧者の安美錦が、幕内では2013年夏場所で豪栄道が琴奨菊に決めて以来となる「送り投げ」で4連勝を決めた。
くせ者の時天空を突き起こし、後ろに回ると右でまわしをつかんで軽く投げ捨てた。36歳とは思えない動きの良さだった。「(相手は)立ち合いで何かしてくるかと思ったけど、こっちは気にしないで思い切りいくだけ」と淡々と語った。
直前の一番で弟弟子の誉富士も全勝をキープ。「俺も負けるわけにはいかないと思った。付いていかないとね」と目を細めた。 |