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富士の裾野の 雨ふる夜中
松明かざして 道をば照らし
工藤の館に踏み込み見れば
■奥に祐経すやすや眠る
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今ぞそれ撃て 十八年の
父の恨みを はらすは今ぞ
兄と弟が 斬り込む太刀に
■仇祐経その場に弊(たふ)る
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2 |
父の仇ぞ 祐経起きよ
曽我の兄弟 仇を討つと
枕を蹴飛ばし鋭い聲で
■兄と弟が名乗りを上げる
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5 |
兄と弟が 心を合わせ
恨み晴らした 此の物語
幾百千年 萬年までも
■富士の高嶺と其の名も高い
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3 |
武士の中でもその名の知れた
工藤祐経 驚きながら
刀を引き寄せあわてもせずに
■よくも來たぞと二人を睨む |
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