廣瀬中佐(G)
検定小學唱歌5(昭和04年)

作詞
作曲
大和田建樹
納所弁次郎
一言一行いさぎよく
日本帝国軍人の
鑑を人に示したる
 ■廣瀬中佐は死したるか
   再度の成功 期せんとて
時は彌生の末つかた
中佐は部下と諸共に
 ■勇みて乗り込む 福井丸
死すとも死せぬ魂は
七たび此世に生れ來て
國の惠に報いんと
 ■歌ひし中佐は死したるか
天晴れ敵の面前に
日本男子(だんじ)の名乗して
卑怯の膽をひしがんと
 ■誓ひし事の雄々しさよ
我は神州男兒なり
穢れし露兵の弾丸に
當るものかと壮語せし
 ■ますら武夫は死したるか
10 かくて沈没 功成りて
収容せられし船の内
杉野曹長見えざれば
 ■中佐の憂慮ただならず
國家に捧げし丈夫の身
一死は期したる事なれど
旅順陥落見も果てぬ
 ■憾(うらみ)は深し海よりも
11 又立ち歸り 三度(みたび)まで
見めぐる船中影もなく
答ふるものは甲板の
 ■上まで浸す波の聲
敵弾礫(つぶて)と飛び來(きた)
報國丸の千強に
忘れし劔を取りゆく
 ■その沈勇は神なるか
12 せんかたなくて乗り移る
ボートの上に飛び來るは
敵のうち出す一巨弾
 ■あなや中佐は撃れたり
閉塞任務は 事をはり
ひらりと飛乗るボートにて
竿先白くひらめかす
 ■ハンカチーフに風高し
13 古今無雙(むそう)の勇将を
世に失ひしは惜しけれど
死して無數の國民を
 ■起たせし功は幾ばくぞ
逆まく波と弾丸の
間に身をば置きながら
神色自若 歸り來し
 ■中佐の体はみな膽(きも)
14 屍は海に 沈めても
赤心とどめて千載に
(いくさ)の神と仰がるゝ
 ■廣瀬中佐は 猶死せず

●同名異曲: 尋常小學4(大正1) 検定小学5(昭和04)
新選中学1(昭和4)

歌詞:09/02/03/midi:09/12/01