登山(D)
新訂高等小學唱歌(第一學年)/昭和10年


男子用曲
作詞
作曲
作者不詳


真夏なれども 真冬の装(よそおひ)
(あかつき)寒き 小屋を出でて
金剛杖も しばしは肩に
幾年(いくとせ)くはだて 幾年願(ね)ぎし
  ■これなる峡谷 今年われよづ

朝日はまだ出ず 小鳥も目ざめず
氷の如き 渓(たに)の流れ
こごしき岩根 けはしき坂路(さかじ)
おのれの手足の 力のままに
  ■渉(わた)れば 登れば 武者ぶるひする

たよる かんじき アルペンストック
一足(ひとあし)毎の 歩(あゆみ)高し
滑るな 深きクレバス近し
早くも起出(おきい)で やさしき聲に
  ■親子の雷鳥 巌角(がんかく)にあり

お花畠の 目ざむるばかりに
いろどり はしく きそひ咲くを
かたみに愛でて 見上ぐる尾根に
白きは キャンプか 白衣(びょくい)の人か
  ■行手に珍し 偃松(はいまつ)の海

低くなりゆく 下界の山山
頂ばかり 霧の海に
島かと見えて 目路(めじ)いと廣し
思いもよらざる かた(方)より出でし
  ■朝日に向かひて 鬨(とき)の聲あぐ

●同名異曲: 高等小(昭和05) 新訂高等小(昭和10)

歌詞:08/12/21/midi:09/05/05/おけらの唱歌