四季の散歩(G)
中等音楽教科書1(北村)/明治41年

作詞
作曲
作者不詳



たのしき世にも たのしや春は
梅咲く園に さくらが岡に
小草の野路(のみち) 逍遙(ぶらぶら)行けば
  ■花よりさきに こゝろは長閑

たのしき世にも たのしや夏は
並樹(き)の木陰 池塘(つゝみ)の邊(ほとり)
青田の小路 逍遙(ぶらぶら)行けば
  ■風よりさきに こゝろは涼し

たのしき世にも たのしや秋は
萩ちる庭に 蟲なく晩方(ゆふべ)
雲間をながめ 逍遙(ぶらぶら)行けば
  ■月よりさきに こゝろぞ晴るゝ

たのしき世にも たのしや冬は
末枯(すがれ)の里囘(さとわ) かど田の畷(なはて)
小川の小橋 逍遙(ぶらぶら)行けば
  ■雪よりさきに こゝろぞ清き

●同名異曲: 中等音楽1(明治41) 高等新唱1(昭和12)

歌詞:11/05/30/midi:11/08/29/おけらの唱歌

■説示と設問■
●説示  音符の上若くは下に附記されたる小點は、之を圓點と呼び、軽く、切れぎれに、且つ分明に歌ふべきを示す記號なり。又同じく小線は之を横線と呼び、圓點に反し、音長を充分に保持して歌ふべきを示す記號なり。されば圓點と横線とが同時に附記せられたる場合には、音頭を軽く當り、音尾を引くが如きこゝろにて歌ふべきなり。