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花の都のおもしろの春べや
■四方(よも)に心ぞうかるゝ
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6 |
夏のけしきも 面白の都や
■蝉の羽袖も かろげに
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2 |
春日のどかに打ち霞む遠近
■梅を見にゆくたのしさ
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7 |
若葉をぐらく茂りたる中より
■藤のにほふも なつかし
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3 |
隅田上野に船車つらねて
■花にくらすか人々
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8 |
蛍見がてら関口にあそべば
■小田の水鶏(くひな)もなきたり
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4 |
あさり蛤おもふまゝ集めて
■かへる汐干の夕ぐれ
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9 |
空に飛び散る星かげは花火よ
■あれといふまに 消えゆく
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5 |
町のともし火ほのぐらく見えつゝ
■おぼろ月夜もふけたり
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10 |
蓮の花さく忍ばずの池には
■夕日すゞしくのこれけり
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●読み:遠近=をちこち |
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・以下20番まで省略 |