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足柄山の よはの月
空すみ渡る 笙の音(ね)に
草木も 耳をそばだてゝ
■谷の眞清水 ひ゜ゞき合う |
4 |
さすが名残の 惜しまれて
時秋なほも 御後に
従ふべしと ためらへど
■義光頭(こうべ)を うちふりて |
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●国定高等小学読本 |
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新羅三郎義光は
更に秘曲を 吹添えて
取出したる 一巻を
■時秋が手に 渡しつゝ
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5 |
『我戦場に 向ふ身の
野末の梅雨と 消えんとき
汝にあらでは この曲を
■誰かは後に 傳ふべき
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3 |
『汝(なれ)が父より 傳はりし
秘曲は之に 蔵(おさ)めたり
今の調(しらべ)を耳にしめ
■都路さして 還れとく』 |
6 |
我は武の為め 家の為め
汝は世の為め 道の為め
つゝがなかれ』と 西東
■露けき袖を 分ちけり |