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昔もろこし 朱文公
世にすぐれたる 博士にて
詩をば作りて いひけらく
年わかしとて 怠るな
たとへば春の 夢ぞかし
■覺めも果てぬに 老いゆくと
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5 |
さはいふものゝ 諺に
塵ひぢ積もりて 山となり
滴つもりて 海となる
いそぐとも 世にかひあらじ
心しづめて いつまでも
■怠らぬこそ 賢けれ
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2 |
東と西に 國へだて
いにしへ今と 世はかはり
高きいやしき 品(しな)はあれど
學(まなび)の道に たづさはる
人としあれば おしなべて
■かかる歎(なげ)きは ありぬべし
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6 |
たとひ數多(あまた)に わたらずと
ひとふしをだに 修めなば
身のためと なること多し
さらずば蟲に 劣るべし
蜘蛛は網張り 蜂は又
■蜜をつくるを 見よや見よ
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3 |
春の初花 秋の月
夏の青葉に 冬の雪
移り行く世の 有様に
心驚く ときあらば
過ぎし月日を 數へつゝ
■學の業を 勵むべし
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7 |
勉めや勵め たゆみなく
進み進みて よどみなく
難きことゝて 厭(いと)ふなよ
學の海に 舟路あり
教の山に しをりあり
■なにかおそれん おそるまじ
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4 |
ひとすぢなりし 物まなび
昔賢き 人たちも
難(かた)しとなほも 歎きけり
今は數へも あへぬまで
別れたるをば いかにして
■おほよそ人の なしうべき |
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