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陣地は高く 塁固く
敵勢激烈しき 首山堡(しゅざんぼう)
取らでは生きて 還らじと
■誓ひて進む 第二軍 |
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9 |
かくと見るより 退きし
敵は再び おし寄せて
打ち出す弾丸 飛雨(ひう)のもと
■斃(たお)るゝ屍は 數しらず |
2 |
折しも宵の 雨晴れて
月は朧に さし昇る
空まで響く 鬨の聲
■天地も崩るる ばかりなり |
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10 |
中佐も傷を 受けながら
猶(なほ)塁頭に つっ立ちて
死ねや陛下の みためぞと
■叫びし聲の 勇ましさ |
3 |
花さへ實さへ 香(かん)ばしき
橘中佐 名は周太
大隊率ゐて 進みしが
■見れば二條の 堀深し |
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11 |
言の葉いまだ 終らぬに
又も飛び來る 敵弾は
中佐を地上に 斃したり
■あはれ天こそ 無情なれ |
4 |
兵よ恐るな 臆すなと
勵ます詞(ことば)の 下よりも
躍りて飛び入(い)る 堀の中
■いきほひ猛虎か 荒獅子か |
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遂に七つの 弾丸(たま)受けて
死せんとしつつ 残しおく
詞(ことば)に見ゆる 眞心は
■忠臣勇士の 世の鑑(かがみ) |
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守らば守れ 撃たば撃て
正義の敵を 拂ふべき
日本刀は 腰にあり
■大和心は 胸にあり
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思へばめでたき 東宮の
御誕生日は 今日なるぞ
かかる記念の 吉日(きちにち)に
■戦死するこそ 誉なれ
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6 |
電光きらめく 劔太刀
抜く手鋭く 三名の
敵を見るまに 切りふせて
■猛虎のごとく 突き進む |
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この一言(いちごん)の 雄々しさは
七たび此世に 生まれんと
誓ひて死せし 軍神(いくさがみ)
■廣瀬中佐に 異ならず |
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将卒いかでか ためらはん
大隊長を 殺すなと
呼ばるる聲を 凱歌にて
■早くも乗取る 敵の塁
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海には 廣瀬中佐あり
陸には 橘中佐あり
死しても死せぬ 英魂は
■皇國(みくに)を千代に 守るらん
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8 |
風にひらめく 日章旗
大空たかく さし立てゝ
國の稜威(みいつ)を 示したる
■中佐の功(こう)は 小ならず
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