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旅順開城 約成(やくな)りて
敵の将軍 ステッセル
■乃木大将と会見の
■所はいずこ 水師営
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『二人の我が子それぞれに
死所を得たるを喜べり
■これぞ武門の面目(めんぼく)』と
■大将答(こたえ)力あり
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庭に一本(ひともと) 棗(なつめ)の木
弾丸あとも いちじるく
■くずれ残れる 民屋(みんおく)に
■今ぞ相(あい)見る 二将軍
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7 |
両将昼食(ひるげ)共にして
なおもつきせぬ物語
■『我に愛する良馬(りょうば)あり
■今日の記念に献ずべし』
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3 |
乃木大将は おごそかに
御(み)めぐみ深き 大君(おおぎみ)の
■大みことのり 伝(つと)うれば
■彼かしこみて 謝しまつる
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8 |
『厚意謝するに余りあり
軍のおきてに従いて
■他日我が手に受領せば
■ ながくいたわり養わん』
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4 |
昨日の敵は 今日の友
語ることばも うちとけて
■我はたたえつ かの防備
■かれは称えつ わが武勇
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9 |
『さらば』と握手ねんごろに
別れて行くや右左(みぎひだり)
■砲音(つつおと)絶えし砲台に
■ひらめき立てり 日の御旗
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5 |
かたち正して 言い出でぬ
『此の方面の戦闘に
■二子を失い給(たま)いつる
■閣下の心如何にぞ』と |
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