里の秋 【F】

・里の秋 ・里の秋
作詞
作曲
斎藤信夫
海沼  実


静かな静かな 里の秋
お背戸(せど)に 木(き)の実の 落ちる夜は
  ■ああ 母さんと ただ二人
  ■栗の実 煮てます いろりばた

明るい明るい 星の空
鳴き鳴き夜鴨(よがも)の 渡る夜は
  ■ああ 父さんの あの笑顔
  ■栗の実 食べては 思い出す

さよならさよなら 椰子(やし)の島
お舟にゆられて 帰られる
  ■おお 父さんよ 御無事(ごぶじ)でと
  ■今夜も 母さんと 祈ります



新おけら歌集(01/11/16) / リクエスト(木村さん)
楽譜:ビーさん(2004/09)

■1945年、南方からの復員兵を迎える歌としてNHKが委嘱。童謡歌手「川田正子」のうたごえがラジオかr流れたとき、徴兵された「親・子・夫・恋人」を案じラジオにかじりついていた人々の心をとらえた。代表的な日本の叙情歌。
■1945年(昭和20年)12月のNHKラジオ番組「外地引揚同胞激励の午後」で童謡歌手・川田正子が歌い、父親らの帰還を待ち焦がれる人々の心を瞬く間に捉えた歌。
 原詞は日本による真珠湾攻撃直後に、教師・斎藤信夫(1911〜87)が「星月夜」として創作。千葉県の九十九里浜近くの成東町在住だった斎藤は満天の星空を見上げながら、南方の父を想う母子の姿を重ねて作詞した。戦後、NHKから復員兵を迎える歌を委嘱された作曲家海沼実(1909〜71)が古い童謡雑誌で「星月夜」を見つけ、軍国主義的な内容の改作を斎藤に依頼。「里の秋」が誕生した。
■教壇で「神州不滅」と教えていた斎藤は敗戦で「自分は嘘をついていたことになる」と苦悶し教師を辞めていたが、「里の秋」をキッカケに海沼と歌を作り始め、やがて教職に復帰した。 1番の「背戸」は、家の裏口・勝手口の意もあるが、この場合、裏庭のこと。
うた新「歌の小箱」77(07/09/17)