早春賦【Eb】
新作唱歌3(大正2)

作詞
作曲
吉丸 一昌
中田  章


春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯 歌は思へど
  ■時にあらずと 声もたてず
  ■時にあらずと 声もたてず
●昭和22年発行、6年生の音楽では「早春の歌」
新作唱歌(大正02) 6年生の音楽(昭和22) 歌集別index
氷融け去り 葦は角(つの)ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
  ■今日も昨日も 雪の空
  ■今日も昨日も 雪の空

春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急(せ)かるる 胸の思いを
  ■いかにせよとの この頃か
  ■いかにせよとの この頃か

●早春の曲目: 早春(明治37) 早春賦(大正2) 早春(昭和04)
早春(昭和10) 早春(昭和18)


新おけら歌集(07/12/12-08/12/10)/楽譜:bunbun(2016/04/16)おけらの唱歌

■春を待つ長野県・安曇野の光景の歌。歌碑がある穂高町は毎年春「早春賦まつり」を開く。同県大町市にも歌碑があるが、作詞した吉丸一昌(1873-1916)は1911年に大町中学(現大町高)の校歌創作のために当地を訪ねた。
 吉丸は東京音楽学校(現芸大)教授で尋常小学校唱歌作詞主任でもあった国文学者。1912(明治45)年から後の童謡の先駆といわれる「新作唱歌全十集」を発表したが、「早春賦」はその1曲。作曲は同じ東京音楽学校教授のオルガニスト・作曲家である中田章(1886-1931、東京生で作曲家・中田喜直の父)。
 吉丸の生地は大分県臼杵市。上京して府立第三中学校(現両国高)教諭、音楽学校教授を歴任する間の教え子には芥川龍之介、中山晋平、山田耕筰らがいる。
うた新「歌の小箱」52(07/02/26)