一月
あけゆく空の初霞
うす紫に棚びきて
のぼる朝日ののどけさは
■春の光になりにけり |
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四月
汐干にいでゝ貝ほれば
あさり蛤かずおほく
きのふも籠に満ちにけり
■けふ又ゆかん父上と |
二月
梅のつぼみもふくらみて
まどの日かげの暖かさ
名高き寺の紅梅も
■みがてらいざや散歩せん |
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五月
茶摘の歌の聞ゆるは
はやくも夏になりぬらん
いちごとりつゝ遊びたる
■故郷の山ぞおもはるゝ |
三月
垣根の桃の花見れば
南は赤く北白し
折りておくらん一枝を
■初雛まつりする家に |
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六月
門田のおもに賤の女が
うゑし早苗の葉末より
夜はみだれて飛ぶ蛍
■あつめてゆかんわが袖に |
■以下十二月まで省略……… |