囚人讃歌【Cm】

作詞
作曲
訳詞
ロシア歌曲
ボガエフ
島村  喬


今日もひとリ 友は逝き
あすは 我がさだめか
  ■幸いは遠く のがれるすべのない
  ■我ら つみびと
  ■それでも 朝はくる
   ………間奏………
  ●暗い夜はあけて 陽は照り
  ●何か倖わせが来るかと
  ●われは陽を仰ぎみる
数え切れぬ 罪びとで
シベリヤは うずまる
  ■罪びとで シベリヤをみたそう
  ■やがて われらの世界がくる
  ■われらの世界がくる!


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新おけら歌集(10/10/10-12/25)ロシアの詩 / 楽譜:ビーさん(10/12)
■囚人讃歌
 ボガエフの最期の曲は、前曲の「スキタァニェ」の絶望に比べて異常な熱情と希望を托して歌われている。25年囚ボカユフの到達した、これが境地であるわけだが、今日のソヴェートを知る私には、あまりにもボガエフは哀れである。
 一種の信仰に近い彼の「コムニズムは必ず破滅する。」という考えは、一方喜劇でもあるわけだ。。彼がそのような願望的な信仰をもっていたにもかかわらず、事実は皮肉にも反対である。あるいはボガエフのためには、そうした否定し得ない反証的事実を見みずに死んでいったのは幸いであったかも知れない。すくなくとも私はそう思うときがある。生きている限りは奇跡も訪れる可能性はある、という言葉も、彼の場合には縁の遠いものであったからだ。従って彼の「囚人讃歌」は、願望が、呼び起こした幻想ともいえるわけだ。
1960/01/28 百瀬三郎【島村喬】