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流るゝ如き 大雪に
天もをぐらく 地もくらし
敵のありさま さぐらむと
道なき道を 踏分けて
守永中尉が 率(ひき)ひ行く
■兵士の數は 三十二
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いざや進むで つき入らむ
日本健兒(やまとたけを)の 赤き血を
異國の雪に そゝがむは
日本たけをの 名誉(ほまれ)ぞと
はげます中尉の 言の葉に
■いよいよふるふ わが兵士
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行けども行けども ふる雪に
前途(ゆくて)も更に 見えわかず
あまりに雪の 深ければ
道のかたへの 賤(しづ)が屋に
しばしと息(いこ)ふ 程もなく
■忽ち起る 物の音
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進む勢(いきほひ) 烈(はげ)しきに
敵はやうやう 退きぬ
又もふりくる 大雪は
中尉をはじめ 七人が
國に獻(ささ)げし なきがらを
■白き布もて おほひけり
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あやしの音と 門の邊に
立出(い)て見れば 思ひきや
おしよせ來ぬる 敵兵は
千重(ちへ)に圍みて うたむとす
味方はわづかに 三十二
■敵は 一千二百人
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