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相模の海の 波のうへ
國のしづめの 富士みえて
常磐かきはに いやしげる
松の葉山の 假宮に
皇后宮(きさいのみや)の ならせられ
■寒さ避けます 頃とかや |
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御心(みこころ)安く ましませと
聞えあぐるや たちまちに
白衣のすがた かきゝえて
岸にくだくる 仇浪(あだなみ)の
音ばかりこそ 残りけれ
■實(げ)にも不思議の 御瑞夢や |
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●瑞夢(ずいむ):縁起の良い夢のこと |
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名島(なじま)の磯に ゆきかよふ
千鳥のこゑの 更け渡る
よるの大殿(おとど)の 御座(ござ)近く
白衣(びゃくえ)の武士(もののふ)ひれふして
いとおごそかに 申す様(よう)
■微臣は 坂本龍馬なり
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王政復古の そのはじめ
海援隊の 長(をさ)として
よの仇浪を しづめたる
坂本龍馬 その人は
死して護國の 鬼(き)となりて
■明治の御代にも 使へけり
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日露の空に たちまよふ
雲足いよゝ 急なれど
微臣もちからを 海戦に
そゝぎてまもり 候へば
吾海軍の かちいくさ
■うたがふべくも 候はず |
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