氣の變り易き男(G)
検定小学唱歌4(昭和4)

作詞
作曲
國定読本
納所弁次郎
世に愚かなる 男あり
始めは杣人(そま)に なりたるが
手に取る斧が 重しとて
 ■止めて小挽(こびき)と かはりけり
   農夫となりて 田を作る
その職業を 始めしに
こえ臭ければ いやと云う
 ■さてその次は 何なるぞ
されど日々は 大いなる
(のこぎり)持つが 苦しとて
またも小挽を うち棄(す)てゝ
 ■今度は大工と なりにけり
杵重ければ 米搗きも
少しの間(ま)にて 見限りつ
紙屑拾いを 始めしが
 ■賤しき業(わざ)とて 癈しけり
大工は手斧が 危なしと
恐れて次は 家根屋業(やねやげふ)
屋根の高きに 驚きて
 ■これも續かず 勤(つと)まらず
ああ愚かなる この男
今はなすべき 業もなし
若き昔の おこたりを
 ■悔いて泣けども 如何せん
次にはかはる 畳さし
床厚しとて これも止め
鍛冶屋になりて 見たれども
 ■夏の暑さに 困りたり
身は早や老いて 手は利かず
人の惠を 頼みにて
ちまたに叫ぶ 門(かど)に乞ひ
 ■つなぐ命の 哀れさよ
●杣人=斧で木樵
●小挽=倒した木を鋸で



歌詞:09/02/03/midi:09/04/22