(かいこ)(C)
尋常小學唱歌(四學年)/大正元年

作詞
作曲
作者不詳

風暖き 五月のはじめ
里の少女が 取るや羽箒
掃きおろしたる 春のかひこ
 ■さながら黒き塵の如く

髪も結ばず 夜さへ寢ねず
心つくして 一月あまり
努めしかひの 見えたる今日
 ■うれしや繭は 山の如く

四度の眠 いつしか過ぎて
箸の太さは 小指となりぬ
きそひきそひて 桑はむ音
 ■木の葉に雨の そそぐ如く
尋常小学(大正01) 新訂尋常(昭和08)

▼不明曲「養蠶(ヨウサン)」
蠶卵紙タネガミおろし 掃きたてて
クワの若葉ワカバを 食わすれば
えぬ程ホドなる 幼蟲ヨウチウ
一日一日ヒトヒヒトヒに 育ソダちつつ
 ■四たびの眠ネムり 覺めて後ノチ
 ■玉タマなす繭マユを 造ツクるなり

桑の若葉の 切りきざみ
眠起ネオきの世話セワや 火の加減カゲン
ヨルも眠ネムらぬ 勤勞キンロウ
しるしは早(ハ)やも あらわれて
 ■桑食クワクう音オトの 止みぬれば
 ■蠶簿マブシにかかる 玉の繭

に生業ナリワイは 多オウかれど
げに樂タノしきは 養蠶ヨウサン
ココロつくして いそしめば
いそしむ甲斐カイの あらわれて
 ■やがてはこれぞ 家イエの富トミ
 ■やがてはこれぞ 國クニの富



歌詞:08/01/18/midi:08/06/15-12/12/16/楽譜:bunbun(2016/06/25)おけらの唱歌