なごりの花(Gm)
明治唱歌 第五集/明治23年8月

作詞
作曲
大和田建樹
小原甲三郎

黄ばみ行く 草をちからに
なほ頼む あさがほ あはれ
色うすく 身も痩せがれて
■咲き残る 一花あはれ

吹き荒るる 夜半の嵐に
その夢は よしやぶれても
やぶられぬ 花笠みせて
■ほこりつる 影もありしを

のぼる日の 花にむかへど
まばゆしと 顔もそむけば
老いはてし 秋のかきねを
■いまもなほ 杖とぞたのむ

たよりつる はたふれ
したしみし 小蝶は失せぬ
時々に 落つる木の葉も
■身をうちて よそにぞ過ぐる

咲きそめし 汝が世の始
かゝらんと 誰かおもひし
はらからも 友としぼみて
■たすけなき 一花あはれ

(あだ)と見し 日の光さへ
けふはその 命となるに
親とみし きのふの露を
■身をころす 霜とかはれり

有明の月 のづらを
身にかゝる 玉とよそほひ
つくろはぬ 笑顔さゝげて
■世に立ちし 影もありしを
あはれ その花のみなし兒
あはれ その栄花のなごり
さきだつも 残るもしばし
■いざ眠れ 神の給る土の枕に


歌詞:11/06/03/midi:11/06/03/おけらの唱歌