かたみの琴(C)
明治唱歌 第三集/明治22年6月

作詞
作曲
大和田建樹
上 真行


わが母(はは)は いづくにゆきし
(て)にふれし琴(こと)をみすてて
わが母はいづくにゆきし
(ひ)きなれし琴をのこして
(ちり)はらふ人(ひと)もなければ
  ■こゑ絶(た)えて日(ひ)は重(かさ)なりぬ

片言(かたこと)にくりかへしたる
わが歌(うた)を汝(なれ)もわすれじ
ほほゑみし母のおもかげ
(な)が面(おも)にいまもうつれり
なつかしき指(ゆび)にひかれて
  ■うごきしはあはれこの糸(いと)

(かべ)に立(た)ちのこれる琴(こと)
もろともに汝も忘(わす)れじ
朝夕(あさゆふ)にむかひし影(かげ)
(め)にあまる愛(あい)のひかりを
(はな)も散(ち)れ鳥(とり)もよしゆけ
  ■わが母の歌聲(うたごゑ)かへせ

月白(つきしろ)し空(そら)をもしろし
わが目(め)には霧(きり)こそかかれ
(はる)も来(こ)ぬ山(やま)もわらひぬ
わが胸(むね)はこほりぞとけぬ
いかにせん 母なきやどを
  ■いかにせん聲(こえ)せぬ琴を


歌詞:08/07/13/midi=09/01/23