故郷の山(D)
明治唱歌 第一集/明治21年5月

作詞
作曲
大和田建樹
辻 則承


こころも晴(は)れゆく 朝日(あさひ)のそらに
ほのかに見(み)えたる ふるさとの山(やま)
まぎれぬ面影(おもかげ) かはらぬかたち。
  ■あれあれ見(み)えたる ふるさとの山。

むれたつ鴎(かもめ)の ひまなき羽(は)ねに
あらはれかくれて あれ近(ちか)づくは
慈愛(じあい)のかほばせ 楽土(らくど)のひたひ。
  ■あれあれ見えたる ふるさとの山。

(こひ)しきわがやは あの山もとよ。
わかれし木陰(こかげ)を はや行きて見ん。
(いもと)と植(う)ゑたる かきねのすもゝ
  ■丈(たけ)にもあまりて 身(み)をむすぶらん。

書読(ふみよ)む小窓(こまど)に かゝりし薔薇(せうび)
毬打(まりう)つ園生(そのふ)を おほひし葡萄(ぶだう)
かはらで茂(しげ)るか むかしのまゝに。
  ■雀(すずめ)は誰(た)が手(て)に なれてかあそぶ。

こひしき父母(ちちはは) あの山もとよ。
とびたつ思(おもひ)を はや告(つ)げまほし。
夢路(ゆめぢ)にかよひし 十年(ととせ)のこゝろ
  ■くまなくかたるは 嬉(うれ)しや今宵(こよひ)

わが船(ふね)むかへて なつかしがほに
あれあれ立(た)てるよ ふるさとの山。
別路(わかれぢ)おくりし すがたのまゝに
  ■あれあれ立(た)てるよ ふるさとの山。


歌詞:08/07/13/midi=09/01/23