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吉野を出でて うち向こう
飯盛山の 松風に
なびくは 雲か白旗か
■響くは 敵の鬨の声
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5 |
なおも屈せず 追うてゆく
されど見方は 小勢なり
新手の敵は 遠巻きに
■雨のごとくに 矢を注ぐ
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2 |
あな物々し 八万騎
大将師直 いずくにか
かれの首を取らずんば
■ふたたび 生きて帰るまじ
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6 |
今はやみなん この野辺に
捨つる命は 君のため
なき数に入る 名をとめて
■いでや誉を 世に残せ
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3 |
決死の勇に 当りかね
もろくも敵は 崩れたち
一陣二陣 陥りて
■本陣危うく 見えにけり
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7 |
枕ならべて もろともに
一族郎党 ことごとく
消えし草葉の 露の玉
■光は千代を てらすなり
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4 |
目ざすかたきの 師直と
思いて討ちし その首は
敵のはかれる いつわりか
■欺かれしぞ 口惜しき |
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8 |
今も雲居に 声するは
四条畷の ほととぎす
若木の楠の かぐわしき
■ほまれや人に 語るらん |