美しき天然(Cm)
美しき天然(明治38)

作詞
作曲
武島 羽衣
田中 穂積

空に囀(さえず)る鳥の声
峰より落つる 滝の音
大波小波 滔々(とうとう)
響き絶えせぬ 海の音
聞けや人々 面白き
この天然の 音楽を
■調べ自在に弾き給(たも)
■神の御手(おんて)の尊しや

薄墨引ける 四方(よも)の山
(くれない)匂う 横霞
海辺遥かに 打ち続く
青松白砂(はくさ)の美しさ
見よや人々 類(たぐい)なき
この天然の 写し絵を
■筆も及ばず 描き給ふ
■神の力の 尊しや
春は 桜の彩衣(あやごろも)
秋は 紅葉(もみじ)の唐錦
夏は 涼しき月の衣(きぬ)
冬は 真白き雪の布
見よや人々 美しき
この天然の 織物を
■手際見事に 織り給ふ
■神の巧みの 尊しや
(あした)に起る 雲の殿(との)
夕べに懸かる 虹の橋
晴れたる空を 見渡せば
青天井に 似たるかな
仰げ人々 珍しき
この天然の 建築を
■かく広大に建て給ふ
■神の御業(みわざ)の尊しや

●同名異曲: 唱歌教科書(明治35) 美しき天然(明治38)

歌詞:12/08/20/midi:12/08/20/おけらの唱歌
■日本人によって作られた最初のワルツ曲。堀内敬三氏によると、作曲者の田中穂積が佐世保海兵団の海軍軍学隊長だった明治33年頃、佐世保に女学校が新設され、その校長の依頼によって作曲したもの。歌詞は、武島羽衣の詩集からとったと言われている。
日本の唱歌(上)