道真卿(C)
新撰國民唱歌5/明治34年

作歌
作曲
大和田建樹
小山作之助

1: ふり埋む雪を侵して
さく梅の春の初花
天地にみちわたる
■色香は千代に
■散らず朽せじ

6: かへりみる都の空は
雲ふかし朝廷は何処
わが友と見なれつる
■軒端の梅よ
■春を忘るな

2: 藤原の家人(いへびと)ならぬ
儒者の身の俄にのぼる
ためしなき雲の上
■君のめぐみに
■答へざらめや

7: 去年の秋たまひし御衣は
身につけて今も離さず
そのめぐみそのなさけ
■おもへば涙
■そでもたもとも

3: 身も知らず家も忘れて
真心に仕へしものを
おもひきや雲いでゝ
■月の光を
■隠すべしとは

8: 都府楼の甍は見れど
観音寺かねはきけども
あけくれに夜昼に
■いつなぐさまん
■憂ある身は

4: 心にもあらぬ讒(ざん)者の
讒言になきぬれぎぬを
きせられて罪人と
■定まる此身
■夢かうつゝか

9: 家いでゝ三年になりぬ
都には何事かある
つくしがた月きよし
■沈む光は
■曇らぬものを

5: わがためは神やいまさぬ
わがためは月日や照らぬ
すつる身は厭はねど
■心にかかる
■御世の行すゑ
10: 大君の御言(みこと)によりて
祭らるる御霊たふとめ
文の道文字の道
■つきぬ都の
■栄あふぎて

●道真の曲: 道真卿(明治34年) 道實公(昭和10)

歌詞:2017/01/12/midi:2017/01/22/おけらの唱歌