1: |
ふり埋む雪を侵して
さく梅の春の初花
天地にみちわたる
■色香は千代に
■散らず朽せじ
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6: |
かへりみる都の空は
雲ふかし朝廷は何処
わが友と見なれつる
■軒端の梅よ
■春を忘るな
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2: |
藤原の家人(いへびと)ならぬ
儒者の身の俄にのぼる
ためしなき雲の上
■君のめぐみに
■答へざらめや
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7: |
去年の秋たまひし御衣は
身につけて今も離さず
そのめぐみそのなさけ
■おもへば涙
■そでもたもとも
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3: |
身も知らず家も忘れて
真心に仕へしものを
おもひきや雲いでゝ
■月の光を
■隠すべしとは
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8: |
都府楼の甍は見れど
観音寺かねはきけども
あけくれに夜昼に
■いつなぐさまん
■憂ある身は
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4: |
心にもあらぬ讒(ざん)者の
讒言になきぬれぎぬを
きせられて罪人と
■定まる此身
■夢かうつゝか
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9: |
家いでゝ三年になりぬ
都には何事かある
つくしがた月きよし
■沈む光は
■曇らぬものを
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5: |
わがためは神やいまさぬ
わがためは月日や照らぬ
すつる身は厭はねど
■心にかかる
■御世の行すゑ |
10: |
大君の御言(みこと)によりて
祭らるる御霊たふとめ
文の道文字の道
■つきぬ都の
■栄あふぎて |