夏(C)
新撰國民唱歌2/明治34年

作歌
作曲
作者不詳
小山作之助
メロディー:夏は來ぬ
あたらしく ほりたる池
水ためて 金魚はなさん
■夏こそ今よ いざ来れ

11 とく起きて 咲き初めたる
朝顔の 花をかぞへん
■夏こそ今よ いざ来れ

手をうてば 群くる鯉を
数へつゝ 橋を渡らん
■夏こそ今よ いざ来れ

12 玉よりも 清く光りの
朝露を ふみ心地よき
■夏こそ今よ いざ来れ

おとゞひが 作りあひたる
築山に 苔をはやさん
■夏こそ今よ いざ来れ

13 朝毎に 父を助けて
庭はきて 草に水やる
■夏こそ今よ いざ来れ

葉桜の 若葉すゞしき
下蔭に 釣床(つりとこ)つらん
■夏こそ今よ、いざ来れ

14 学校の 休みにならば
父上と 山のぼりせん
■夏こそ今よ いざ来れ

そよ風の ふきくる夕べ
ぶらんこに のりて遊ばん
■夏こそ今よ いざ来れ

15 登山する 富士のふもとに
わらぢをも はき習ふべき
■夏こそ今よ いざ来れ

紫に 菖蒲花さく
公園を そゞろあるかん
■夏こそ今よ いざ来れ

16 谷がけの 瀧に打たれて
心まで 清く洗はん
■夏こそ今よ いざ来れ

蓮の葉の 丸く浮べる
田の水に 目高すくはん
■夏こそ今よ、いざ来れ

17 あら波の 寄せ来る磯に
潮あびて からだ鍛(きた)はん
■夏こそ今よ いざ来れ

こゝかしこ 蜻蛉おひつゝ
疲るれば 草にねころぶ
■夏こそ今よ いざ来れ

18 海原に、盥(たらひ)うかべて
海士(あま)の子と 遊びくらさん
■夏こそ今よ いざ来れ

夜に入れば 手に手に笹を
持ちいでゝ ほたる狩せん
■夏こそ今よ いざ来れ

19 うちつれて ボートすゝめて
海国の 男児ならはん
■夏こそ今よ いざ来れ

10 凉しくも 出でくる月を
松に見て 唱歌うたはん
■夏こそ今よ いざ来れ
20 学校の 休みのひまに
国のため 身を固むべき
■夏こそ今よ いざ来れ

●異名同曲 小學唱歌5(明治26) 國民唱歌2(明治34年)
詳細不明曲(明治xx)

歌詞:2017/01/12/midi:2017/03/**