1: |
風に追われてお父が消えた
峠の向こうににじんで消えた
■山の畑は 雪の下
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4: |
お父がいねぇで夜が長すぎる
夜なべ仕事にムシロを編もか
■ムシロ編むより 縄をなえ
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2: |
足んねぇ足んねぇで出稼ぎ暮らし
余り物ちゅうてお父の茶碗
■主無ぇ箸の にくらしさ
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5: |
縄がなえたらお父よ戻れ
腰を結わえて倅に持たそ
■今年しゃどこにも行けねよに
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3: |
せめて夢でもお父に会いてぇ
クレヨン抱えて伜が泣いた
■お父の顔が 書けねとよ |
6: |
峠を染めて朝日が昇る
山の向こうにもう陽が沈む
■はかの行かねぇ野良仕事 |