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山は吹雪か 突き刺すような
木枯らし街道 村から町へ
肩で震える 小猿の背なに
洗いざらしの 半纏着せて
■辛抱しろよ! と声かける
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4 |
見物客の 人輪の中で
故郷(くに)に残した我が子の顔に
よく似た笑顔を 見かけた夜は
固い枕を 涙でぬらす
■町のはずれの 木賃宿
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ひとは正月 門松立てて
祝う軒先 門付けすれば
酔ったまぎれの 冷たい言葉
生まれ在所を 笑いでかわす
■涙 こらえて 猿まわす
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5 |
太鼓たたいて 笛吹きならし
人を集めて 踊らす猿に
ドッと笑いと 投げ銭くれば
涙を忘れて 綱さえゆるむ
■ふるさと恋しや 上下ゆき
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3 |
雨で稼ぎの 少ない日には
いっそ この猿 お山にはなし
我が身捨てよか この川に
親方さんの 折檻よりも
■増える借財 恐ろしや |
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