孤燕(はぐれつばめ) 【Eb】
+すずききよし作品集+

原詩
詞曲
劉 信英
すずききよし

1: はぐれつばめが 大空で
親を探して 鳴く声聞けば
■涙が溢れて 止まらない

孤燕長空鳴親人
啼破長空涙イ分イ分
堤筆思親熱涙流
桜花時開又時落
同胞情意永不忘 
 劉信英
2: 雪の荒野を 泣きながら
親を探した 幼い日々も
■親を恨んだ ことはない

4: 父母たずねて 幾年(いくとせ)か
たとえ一目と 夢見て来たが
■空しく祖国を 離れ行く

3: 筆をとっては 親想い
熱い涙が 溢れるばかり
■巡る春秋 幾度か
5: 桜は咲いて また散るが
同胞人(はらからびと)の熱い心は
■いついつまでも忘れない

●いついつまでも忘れない



新おけら歌集(04/08/22) / 東北のうたごえ交流会(04/06)
楽譜:ビーさん(2004/09)

あららー せっかくのUPが…
(2004/06/21(Mon) 23:39)
 このUP分を先程聞かせて貰って、の感想でした。
 音的厚みから言えば、コーダ部分のようにストリングのトウッティーがユニゾン風に入って来るのっていいですね。この中国民謡風のメロディーの特徴は、ペンタトニック(5音階旋法)であるにも関わらず、重厚な感じも、エスニックな意味での、編成の薄い感じも出せるのですが、俗に言う(ユニゾンスキー)的編曲の使い方なのです。コーダの部分が正にそれを上手に生かしてました。

 「タラリラタラリラのオブリガード」が正に中国的なのですが、例えば、bunbunさんが、最初にしておられたように、『主旋律をVaiolinまたは、擦弦楽器で弾いて、オブリガードをオーボエかチャルメラの、リード音とか、逆にグロッケン風な打楽器風な感じも捨てがたいな」とか、コーラス数が多いから交互に入れたらおしゃれだな』等と勝手なことを考えています。

 「偉そうなことを言うんじゃない、そんな事を言うのなら、お前さんがやってみろ」なんて怒らないで下さいね。ついつい、スタジオミュージシヤンに、現場で、「そこの処パート変えてやってみて」なんて気楽に言っていたアレンジャーの我儘でした。でもこの曲には、中国残留日本人孤児への、計り知れない思い入れがあって、つい入れ込んでしまうのです。

 レコーディングした時、レコード会社は 『そんな社会的問題をテーマにしたレコードは、うちでは出来ません。』 と各社から断られて、全くの自主制作で作ったので、バンドも僅か5人で、録音したのです、ピアノはシンセと持ち替えです。
 NHKをはじめ、民放や、各新聞社の記者達が、意気に感じて書いてくれて、お陰で通信販売だけで、6600枚以上売れたので、驚いた徳間ジャパン・レコードが、『わが社で一般発売します』 その後、音楽センターも『野田淳子のLPに入れさせてくれませんか』となった経緯があります。

 そのとき、もっと多い人数で録音したらしいのですが、思う音になっていなかったので、オリジナルの5人編成の方でプリントして、発売して貰った思い出があります。 テープを良く聴いてもらうと小編成のアレンジの苦心が判って貰えると思います。

 テープの音が悪いようでしたら、マザーのDATから録音し直して送ります。新しくシンセ音源で作ったカラオケもありますので、近いうちに送ります。
すずききよし

■ブンブンさん最高!■
(2004/06/22(Tue) 23:09:43)
 ブンブンさん!ベリーベリー・グー!
 midiに素人の私の意見を真剣に受け止めてくださって、本当に有難う御座いました。 きよちゃん本人が考えていたよりも、素敵なアレンジになりました。今夜も美味しいお魚で晩御飯。老妻もニコニコしながら 『美味しいお魚ですね』 おまけに阪神が今期は珍しい連勝。「はぐれつばめ」は素敵な仕上がり。楽しい夜です。本当に有難う御座いました。

 この「はぐれつばめ」の漢詩の原作者『劉信英』さんが、肉親に回り逢えずに、成田空港でこの漢詩を朗読して、虚しく祖国を離れた後、NHKTVでこの姿を見て、涙を流した私は、翌日の各新聞紙を3紙も4紙も見たのです。 すると「赤旗日刊紙」だけに漢詩が載っていました。編集部に電話を入れた所、「時事通信社」の共同配信とのことで、一応了解を得て、漢詩『思親』を翻訳して『孤燕・はぐれつばめ』と言うこの歌を創ったのです。

 原詩の中に無いのは(2番)の歌詞です。これは実は取材した中国残留日本人孤児たちは、自分を捨てた親を恨んでいる人が多かったので、敢えて『雪の荒野を泣きながら親を探した幼い日々も 親を恨んだことは無い』の歌詞を創って挿入したのです。

 ところが、名乗り出なかった肉親が実は病院で、劉信英の写真をTVで見て、彼女の母親に余りにもそっくりに、似ていることや、養父母から聞いていた状況に覚えがあり、名乗り出たかったのですが、劉信英の母親とはまだ恋愛中で、何度も申し込みに言っても許して貰えない侭、軍隊に出征、終戦時に捕虜としてソ連に、連行される途中で脱走して訪れても、回り逢えず、その後帰国して結婚しました。
 満州でのことを現在の妻には話していないし、年を取って、病身の彼は(信英の父)は、生活をその妻に依存している状況で、名乗りを上げることも出来無かったそうです。

 その時、NHKから流れてきたのが『はぐれつばめ』の歌だったそうです。『雪の荒野を泣きながら 親を探した幼い日々も 親を恨んだことは無い』この歌詞を聴いた父親は、『今、名乗り出なければ、わが子を2度捨てることになる』と、何も知らない妻に全てを告白し、許されて、厚生省に名乗り出たのです。

 そのお陰で、劉信英は帰国が許され、中国人の夫と息子と娘を連れて、一家も日本人として国籍を得て幸せに暮らしています。(嘘つきな2番の歌詞が幸せを創ったことは何かを私に教えてくれた様な気がします)長い話で御免なさい。 きよちゃんでした。
すずききよし 
  尚、この曲の創作は「1982/02」です。