灯 【Dm】
+OGONEK+

灯その1 灯その2
作詞
作曲
訳詞
イサコフスキー
作者不詳
楽団カチューシャ


夜霧のかなたへ 別れを告げ
雄々しきますらお 出(いで)て行く
   ■窓辺にまたたく ともしびに
   ■つきせぬ乙女の 愛のかげ

戦いに結ぶ 誓いの友
されど忘れえぬ 心のまち
   ■思い出の姿 今も胸に
   ■いとしの乙女よ 祖国の灯()

やさしき乙女の 清き思い
海山はるかに へだつとも
   ■二つの心に 赤くもゆる
   ■こがねのともしび 永久(とわ)に消えず

変らぬ誓いを 胸にひめて
祖国の灯のため 闘わん
   ■若きますらおの 赤くもゆる
   ■こがねのともしび 永久に消えず


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新おけら歌集(03/02/16) / うたごえツアーin東京(03/05)
楽譜:ビーさん(2004/09)

■ロシアの古い民謡の旋律に、白ロシアの民衆詩人イサコフスキーの詩を着けた曲とされている。ソ連で第二次世界大戦中から愛唱された。
戦時愛唱歌U みんなのメロディ「ともしび(1942年)」
■「カチューシャ」を生んだイサコフスキイとブランテルのコンビは、その後も、「前線の森で」(1942)、「バルカンの星の下で」(1944)、「りんごの花咲く頃」(1946)などの人気曲を生み出しました。ところが「ともしび」だけはそういきませんでした。
 イサコフスキイが「ともしび」の詩を発表したのは戦時中の1942年です。
 「戦地へ旅立つ若者を、乙女は夜更けの玄関で見送った
  遠ざかりながら若者が振り返ると、
  乙女の部屋の窓辺に置かれたともしびが夜霧の中にまだ見えていた」

 それは、当時、どこの家庭でも繰り返されていた別れの風景でした。娘が恋人を、母親が息子を、姉妹が兄弟を、こうして送り出していたのです。誰もの心情を代弁するものででもあったでしょう。詩の言葉は、前線でも銃後でも暗唱され、人々が交わす手紙の中にしきりに引用されて広まり、さまざまに口ずさまれるようになりました。そんな自然発生的なメロディーの中から淘汰されたものが、現在も伝わる「ともしび」です。

 ブランテルをはじめ、名だたる作曲者たちも競ってこの詩を作曲し、楽譜も出版され、演奏もされましたが、どれも普及することなく忘れ去られていきました。今も歌われる「ともしび」の作曲者の名前は伝えられていません。おそらく素人か、有名でないひとだったので、片や大物作曲家たちの版がある手前、楽譜・レコード・放送に取り上げられることなく、巷で歌い広まっていったのではないでしょうか。古い民謡のメロディーが借用されたと説もありますが、歌詞とメロディーの絶妙な一致からして、無名作曲家説を取りたいところです。大衆の感度に脱帽!です。

 一般に、ロシアの歌が日本に紹介されると、非常に遅いテンポに変わってしまう傾向があります。この「ともしび」は、ロシアでは行進曲風に演奏されることが多いので、日本風のスロー・テンポに慣れた方は戸惑われるかもしれません。私も、ロシア人伴奏者と仕事をする時、一番問題になるのがこの歌です。「メロディーと歌詞が十分に叙情的なのだから、テンポまでおセンチになるな」というわけです。いろいろな解釈や表現があっていいと思いますが、こうした違いを知っておくもの参考になるでしょう。
ロシア愛唱歌集〜黒い瞳から百万本のバラまで」(東洋書店/2002年)  山之内重美