タチアーナ【Cm】

詞曲
訳詞
ロシア歌曲
島村  喬


思い出す 君をみた懐しの酒場
君忘れしか タチアーナ
語り合いし 恋の夜
いま眼にうつる 赤き唇の苦しみよ
  ■君忘れしか タチアーナ
  ■語り合いし 恋の夢

思い出す 君よタチアーナ
月白い 並木道を
タチアーナ 思い出す
黒き髪 肩を流れて
そのほおは 胸にうずまる
  ■その君は 何故に去りし
  ■君いつの日 われに帰る


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新おけら歌集(10/10/10-12/25)ロシアの詩 /楽譜:ビーさん(10/12)
■タチアー一ナ
 北満の中心地で白系ロシヤ人たちの手によって建設された街がハルビンである。ロシア人はハルビン(哈爾浜)と呼ぶが、中国人はハルピンと半濁音で呼ぶ。私がこの街を訪れたのは1942年の夏であった。
 この街で私が酒に酔って、キタイスカヤ街のロシヤ人経営の酒場できいたのが、タチアーナ」である。その記憶は不確なものであり乍ら、奇妙に鮮烈な印象となって残っていた。1956年の11月、ハバロフスクで知人の妹尾君がこれをうたっているのをきいてすぐ採譜した。いまとなっては非常に古い歌だし、だれが作曲したのか不明だが、作詞は有名な放浪詩人ヴェルチンスキーだというふうにきいている。プーシキンの「エフゲーネイ・オネーギン」をチャィコフスキーがオペラに書いた。その中にタチアーナが出て来るが、勿論それを歌ったものではない。
1960/01/28 百瀬三郎【島村喬】