毬藻の唄【Em】
+昭和28年+

作詞
作曲
岩瀬ひろし
八州 秀章


水面をわたる 風さみし
阿寒の山の 湖に
浮かぶマリモよ なに思う
  ■マリモよマリモ 緑のマリモ

晴れれば浮かぶ 水の上
曇れば沈む 水の底
恋は悲しと 嘆きあう
  ■マリモよマリモ 涙のマリモ

アイヌの村に 今もなお
悲しく残る ロマンスを
歌うマリモの 影さみし
  ■マリモよマリモ 緑のマリモ



新おけら歌集(08/11/05−10/07/29)唱歌レコード /楽譜:bunbun(2014/09)
■『毬藻の唄』は「平凡」の当選詞に、作詞者の友人である八州秀章が作曲したもので、昭和二十八年に安藤まり子で吹き込まれている。三番〔の歌詞に「アイヌの村にいまもなお悲しくのこるロマンスを」というくだりがあり、この物語は大正末に新聞記者によって創作されたフィクションであるが、阿寒湖の風景が現実と混同されたむきが多い。昭和三十五年からはじめられたマリモ祭りも、観光用として企画されたものである。
 マリモをアイヌの天気の神様というのはこじつけで、アイヌはマリモを「湖の化物(卜ー・ラサンペ)Lとよんで怖れてさえいた。しかし、セトナとマニベの悲恋物語はいろいろな歌の題材となっており、『セトナ愛しや』とか『マリモ祭の夜』とかがある。この『毬藻の唄』は現地では長くうたいつがれている隠れたヒットソングである。