ワラビもち(沢辺寿大学生)

 昔、ケガズ(飢饉)になれば、どこの家でもワラビを堀りに行ったものです。
 その当時の沢辺(岩崎村)には、どこへ行ってもワラビがた<山ありました。特に切明の池あたりが産地で、葉が枯れた秋のほうが、根に養分がたっぷり入っています。

 まず、ワラビのた<山あるところへ行ってモックリ(芝生)を取り去り、それからワラビの根を掘り出します。その根を川できれいに洗い、大きなキッチ(飼い葉おけ)に入れ、かけや(大きな槌)ではだぐ(叩き潰す)のです。
 ていねいにはだいだ後、水でしぼり、一晩いげらして(浸して)おくと、次の朝には、いものハナ(デンプン)と同じようなものができるので、今度はそれをなべに入れこねるのです。そうすると、いくらふむしても(千切る)切れないもちができます。

 ワラビもちは、焼いたり、煮たり、ふかしたりして食べますが、よ<きなこをつけて食べたものです。

ワラビもちの作りかた
ワラビ(ホダ)が枯れかかった秋の頃に掘る。
ホダが太いほど、根に多<のでん粉がある。
ホダの根、ひと背負いで、もち一升分くらいに有る。
よく水洗いして、うす(キッチでもよい)の中に入れ、杵か掛矢で搗くともちのようになる。
搗きあがった根をザルに入れ水洗いする。
根の洗いかすを捨て、その洗い水をさらにみそ通しを通して別の樽に入れると、こまかい根かすを取り去ることができ.る。
樽にたまった水を一夜そのままにしておくと、デンプン粉が底に沈殿し、白いハナができる。
そのハナをオリ板に上げて乾燥させ、粉を作る。
もちを作るときは、なべにハナと水を入れ、よ<かきませると、腰の強いもちができる。
昔は塩きな粉で食べたものだが、やはり砂糖のほうがおいしい。

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