屁ぴり嫁こ/(海浦 義円)


 むかしむかし、おるところに気だて良く(さがしぐ)別嬪(めごい)の嫁さんがいました。朝(あさま)から晩(ばげ)まで野良仕事に精を出し、近所でも評判の嫁さんでした。けれども、この嫁さんには大きな悩みがありました。

 ある日、嫁さんの顔色が余りにも悪いので、皆心配して「嫁こ嫁こ、顔色いぐね(悪い)でば。何か心配事あるんでねが。」と聞きました。そしたら、嫁さんが「我、一つだけ心配事あって、それで顔色悪いんだ。」と、お爺さんが「何、そんだに心配だんだば。」聞きましたら、「実は、我、屁出てんずば(出したいのを)我慢してらどごで(ので)、こんだに顔色悪いんだ。」と。お爺さんもお婆さんも、だんなさんも大笑いしました。

「何、そしたら事、心配さねで、屁ぐらいふればいいべ。」と。これを聞いて、嫁さんは少し安心した顔になりました。「したばってし、我の屁、普通の人の屁ど違うどごで・・・」「いや、心配さねで、屁ふらなが。」「へば、悪いばって、皆どこでもいいはんで(良いので)ガリッと掴まってけねべが。」、嫁さんはそう言いました。

 お爺さんはユルギ(囲炉裏)の縁に掴まりました。お婆さんは流し(みんじゃ)の縁に、だんなさんは柱に掴まりました。嫁さんは「へば、いごすが(宜しいですか)。」そう言って、「ブワーン」と大音響を発しました。顔色も良くなって家の中を見回しましたが、誰もいません。嫁さんは青くなって3人を探しました。

 庭の木の上には、お爺さんがユルギの縁と一緒に引っかかっていました。お婆さんは屋根の上に、だんなさんは馬小屋(まごや)の中にいました。

 皆、な口をそろえて「あんだに、すごい屁だど思わねしてあったじゃ。今度だば、もう少しガリッと掴まっていねばまいねな(駄目だな)。」と言いました。それを聞いた嫁さんは、やっと笑顔になりましたとさ。

 トッツパレッコピー


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