ね ず み 経


 ある所サ、爺さまと婆さまがいだどシャ。ある時、旅の和尚さまが村を通りかがって「一晩泊めてケヘ。」って、頼んだどシェ。爺さまと婆さまは喜んで「どんぞ、泊まってけでゴシェ。(泊まっていらして)」って、和尚さまサご馳走したんだどシェ。

 「ちょうどいい時、和尚さまァ来てゴシタ(いらっしゃいました)。実は今日が娘の命日の日だんです。和尚さまァ、ご馳走済んだら、お経あげでけでゴシェ。」って、頼んだんだどシェ。したばって(しかし)、この和尚さまァ、実はにせ者の和尚さまであったドゴデ(ので)、お経が何も分がねがったんだどシャ。

 和尚さまァ、仏壇の前サ座って、鐘コばカーン。「さて、何喋べるがな。」と思って、ちょっと横バ見だキャ、部屋の穴コがらネズミが一匹、チョロチョロって出で来たんだどシャ和尚さまァ「そうろそうろ、まいった(参った)ぞや」。ネズミはチョロチョロって部屋の隅こサ黙った(静かにジッと)ドゴデ、「すーみサ だーまった」。それからネズミは、側サあった釜サ手コ掛げだドゴデ、「かぁーまサ ちょいとてコ(手)かげで」。ネズミは穴サチョコチョコって入ってしまったドゴデ、「みーつけられで はぁーなした(離した)」

 ・「そうろそうろ、まいったぞや すーみサ だーまった」
 ・「かぁーまサ ちょいと てコかげで みーつけられで はぁーなした」
 ・「そうろそうろ、まいったぞや すーみサ だーまった」
 ・「かぁーまサ ちょいと てコかげで みーつけられで はぁーなした」

 にせ者の和尚さまァ、これ事何回も繰り返したんだどシェ。爺さまと婆さまァ「ありがとうゴシタ(御座いました)、ありがとうゴシタ。これで娘もうかばれる。ありがとうゴシタ。」って、大喜びしたんだどシャ。
 次の日の朝ま、爺さまと婆さまァ、和尚さまサ、デッタラだ(大きい)握り飯バ2つも持だせでやったんだどシャ。 爺さまと婆さまァ、あり難いお経を覚べたドゴデ、毎日毎日お経をあげたんだどシェ。

 ・「そうろそうろ、まいったぞや すーみサ だーまった」
 ・「かぁーまサ ちょいと てコかげで みーつけられで はぁーなした」

 ある晩ゲ、爺さまと婆さまがいつものようにお経を唱えであったどごろサ、泥棒が入ったんダド。爺さまと婆さまァ、「そうろそうろ、まいったぞや」って唱えだドゴデ、泥棒ァ、びっくりして「見つかったんダベガ」って、隅コサ隠れたんだどシャ。爺さまと婆さまァ、続けて「すーみサ だーまった」。泥棒ァ、「こりゃ、見付けられだんダ、逃げねばマイネ。」って、思ったバッテ、ただ逃げでも馬鹿臭せドゴデ、「この釜でもカッパラッて(盗んで)行ぐがぁ」と、思って釜サ手コ掛げだっキャ、「かぁーまサ ちょいと てコかげで」って、続げだもんだドゴデ、泥棒ァ、たまげで、逃げでまったんだどシャ。

 爺さまと婆さまァ、そした事も何も分がねで、「みーつけられで はぁーなした」って、お経バ続げだんだどシャ。

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