可愛いスーちゃん(A)
昭和xx年

作詞
作曲
作者不詳

お国のためとは言いながら
人の嫌がる軍隊に
志願で出てくるバカもいる
可愛いスーちゃんと泣き別れ

夜の夜中に起こされて
立たなきゃならない不寝番
もしも居眠りしたならば
行かなきゃならない重営倉

朝は早よから起されて
ぞうきんがけやらはき掃除
いやな上等兵にゃいじめられ
泣く泣く送る日の長さ

海山とおく隔てては
面会人とてさらになく
着いた手紙の嬉しさよ
可愛いスーちゃんの筆の跡

乾パンかじるひまもなく
消灯ラッパは鳴りひびく
五尺の寝台わらぶとん
ここが我等の夢の床


歌詞:10/07/21/midi:
■これ(このような歌)を軍歌と思っている人が多いようですが、厳密にいえば兵隊節という別のジャンルに属する歌です。軍歌は兵士や国民の戦意を高揚させるための国策ソングで、そのため、歌詞もメロディも勇ましいのが普通です。
 いっぽう兵隊節は、兵士たちが軍隊生活の辛さを慰めるために歌ったもので、軍務や上官に対する不平不満を込めた歌詞が多くなっています。この歌は、兵隊節のなかでも、とくにその傾向が強く表れています。
建前上、軍や上官への批判は厳禁でしたが、無礼講の慰労会などでは、一種の「ガス抜き」として、将校も大目に見ていたようです。
by 二木紘三のうた物語・