大原御幸(Em)
新訂高等小學唱歌3(昭和10)


男子用曲
作詞
作曲
作者不詳


春のさかりも 過ぎさり
さくらも散れる 北山に
やま杜鵤 鳴くころ
大原(おはら)の奥に 分けいりて
寂光院に 御幸(ごかう)ありし
  ■大御心の やさしさを
  ■しのびまつるも 尊(たふと)しや
朗読 人跡たえし山奥に ひきむすばれし御庵室(ごあんじつ)の、
軒には蔦・あさがほひかかり、 しのぶまじりの
忘草
(わすれぐさ)の生(お)ひたるも かなしきに、
杉のふきめまばらにして、 風露
(ふうろ)のしのぎさへ かたきところに、
來迎の三尊を飾り、先帝
(せんだい)の御影(みえい)をかけ奉(たてまつ)りて、
行いすまし給ふさへあるに、 御みづから岩のかけぢを傳ひつつ、
御佛に奉る花をも折集め給ふを御覧じて、法皇も、
しばし御涙にむせび給へり。
夢の如き御再會、いかばかりか嬉しくもまたかなしく覺し給ひけん
時の流の うつろひ
人の榮華も 朝露の
消ゆるに似るを 嘆きて
佛のみちに 入(い)りませる
御身ながらも いかばかり
  ■つきぬ名残を をしませて
  ■女院も立ちつくし 給ひけん


歌詞:11/01/20/midi:11/10/26/おけらの唱歌