勇敢なる水兵(C)
検定小学唱歌6(昭和04)

作詞
作曲
佐々木信綱
奥 好義

煙も見えず 雲もなく
風も起らず 浪立たず
鏡の如き 黄海は
■曇りそめたり 時の間に

呼び止められし 副長は
彼のかたへに たゝずめり
聲をしぼりて 彼は問う
■まだ沈まずや 定遠は

空に知られぬ いかずちか
浪にきらめく 稲づまか
煙は空を 立ちこめて
■天つ日影も 色くらし

副長の眼は うるほへり
されど聲は 勇ましく
心やすかれ 定遠は
■戦ひがたく なしはてぬ

戦今や たけなはに
つとめつくせる 勇者(ますらを)
尊き血をもて 甲板は
■から紅に かざられつ

きゝゑし彼は 嬉しげに
最後の微笑(ゑみ)を もらしつゝ
いかでかたきを 討てよと
■いふ程もなく 息たへぬ

弾丸(たま)のくだけの 飛びちりて
あたまの傷を 身におへど
其たまの緒を 勇氣もて
■つなぎとめたる 水夫あり

(み)國につくす 皇(み)戦の
向ふ所に 敵もなく
日の大御旗(おおみはた) うらうらと
■東の海を てらすなり

副艦長の 過ぎゆくを
痛むまなこに 見とめけん
苦しき聲を はりあげて
■彼はさけぶぬ 副長よ
10 まだ沈まずや 定遠は
此言の葉は 短きも
皇國をおもふ 國民(くにたみ)
■心に長く しるされむ


歌詞:09/08/02/midi:09/11/28-13/01/13/おけらの唱歌