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木高き松の 陰しめて
たてる藁屋(わらや)は 誰(た)が軒ぞ
読書の聲の 絶えぬ間に
こだまに返す 歌の曲
■たのもしの わが教師
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5 |
入相(いりあい)とほく おとづれて
生徒のなごり 物淋し
残る手本も かきをへつ
文のなほし(直し)も しておきぬ
■たのもし わが生徒
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2 |
わが村に来て まだ十年(ととせ)
かかる情けは 孫子(まごこ)まで
このたのもしき 松かげを
■朝日は峯を はなれたり
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6 |
神の慈愛は この宿に
明日のひかりや 待ちぬらん
うしろの岡の 松しろく
■月になりゆく 夜も楽し
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3 |
待ちやぶるらん 遅るなよ
わが師の影や窓に
わが師の聲は はやあれよ
■たのもしの わが教師
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7 |
垣根にはえし 朝皃(あさがお)は
わが師に得つる 種ぞかし
いざ水やらん 何もかも
大事にせよと おほせしを
■愛ふかき 師のことば
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4 |
何のめぐみぞ この村は
何のむぐみぞ わが父は
けふもおぼゆる 文字の数
■知識と共に まさりゆく |
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8 |
父上は はや寝たまへり
習ひし本の さらへせん
ともし火くらく 夜は更けて
■長起きすなと おほせしを |
●入相=入相の鐘(日没の鐘)の略
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