我が教師(C)
明治唱歌 第六集/明治25年4月

作詞
作曲
大和田建樹
上 真行


木高き松の 陰しめて
たてる藁屋(わらや)は 誰(た)が軒ぞ
読書の聲の 絶えぬ間に
こだまに返す 歌の曲
  ■たのもしの わが教師

  

入相(いりあい)とほく おとづれて
生徒のなごり 物淋し
残る手本も かきをへつ
文のなほし(直し)も しておきぬ
  ■たのもし わが生徒

わが村に来て まだ十年(ととせ)
かかる情けは 孫子(まごこ)まで
このたのもしき 松かげを
  ■朝日は峯を はなれたり

神の慈愛は この宿に
明日のひかりや 待ちぬらん
うしろの岡の 松しろく
  ■月になりゆく 夜も楽し

待ちやぶるらん 遅るなよ
わが師の影や窓に
わが師の聲は はやあれよ
  ■たのもしの わが教師

垣根にはえし 朝皃(あさがお)
わが師に得つる 種ぞかし
いざ水やらん 何もかも
大事にせよと おほせしを
  ■愛ふかき 師のことば

何のめぐみぞ この村は
何のむぐみぞ わが父は
けふもおぼゆる 文字の数
  ■知識と共に まさりゆく
父上は はや寝たまへり
習ひし本の さらへせん
ともし火くらく 夜は更けて
  ■長起きすなと おほせしを
●入相=入相の鐘(日没の鐘)の略


歌詞:08/07/10/midi:09/05/15