水仙(G)
幼稚園唱歌・續編(明29)

作詞
作曲
大和田建樹
E・Smith

あらし寒く 雪白き
春の野の土の上に
出で來る
力づよの水仙に
吹かばふけ降らばふれ
■花ははや出でたれり

花はこゝに おもへらく
土は今 雪の底に
なお固し
寸にも足らぬ葉の色も
黄ばめるをいかにせん
■伸びざるをいかにせん

土の下の 寝床にて
夢醒ます 花の
耳に 聞こえくる
水のひゞき春風の
さゞめごとなほもまた
■春雨のたゝく聲

我はあまた 力なし
されどたゞあたふ限り
(つく)し見ん
もし我顔もたげずに
いつまでもやすらはゞ
■春の來る時あらじ

時は今ぞ いざ行かん
たゆたはぬ 花は
心さだめたり
かたく氷る地(つち)の上
やはらかき芽を出して
■世をながめ渡したり

夜に晝に すこしづゝ
榮ゆく 葉の中より
あらはれし
黄金の花 その色香
ゆくすゑの春かけて
■咲き誇る愛らしさ

雪は白く 身をかこみ
天つ日はなほかくれて
雲近し
こけぬ氷ねむる木々
淋しげに眺めたる
■此花のあはれさよ


歌詞:10/08/08/midi:10/08/31