婦人従軍歌(G)
新編教育唱歌集6(明治29)

作詞
作曲
加藤 義清
奥  好義

火筒(ほづつ)の響き 遠ざかる
跡には虫も 声たてず
吹きたつ風は なまぐさく
■くれない染めし 草の色
真白に細き 手をのべて
流るる血しお 洗い去り
まくや繃帯 白妙(しろたえ)
■衣の袖は 朱(あけ)に染(そ)
新訂教育6(明治39) 検定小学6(昭和04)
わきて凄きは 敵味方
帽子飛び去り 袖ちぎれ
(たお)れし人の 顔色は
■野辺の草葉に さもにたり

味方の兵の 上のみか
(こと)も通わぬ 敵(あだ)迄も
いとねんごろに 看護する
■心のいろは 赤十字

やがて十字の 旗を立て
天幕(テント)をさして 荷(にな)いゆく
天幕に待つは 日の本(ひのもと)
■仁と愛とに 富む婦人
あないさましや 文明の
母という名を 負い持ちて
いとねんごろに 看護する
■こころの色は 赤十字


■作詞の加藤 義清は、近衛師団の軍楽隊の音手。新橋駅頭で高官を見送るために軍楽演奏に参加していたが、この時、凛々しい姿で戦地におもむく従軍看護婦の姿を見て、心を打たれ、この歌詞を作ったといわれている。曲は明治27年10月に発表。
歌詞:09/03/01/midi:09/03/01-12/12/24/おけらの唱歌