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火筒(ほづつ)の響き 遠ざかる
跡には虫も 声たてず
吹きたつ風は なまぐさく
■くれない染めし 草の色 |
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真白に細き 手をのべて
流るる血しお 洗い去り
まくや繃帯 白妙(しろたえ)の
■衣の袖は 朱(あけ)に染(そ)み |
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わきて凄きは 敵味方
帽子飛び去り 袖ちぎれ
斃(たお)れし人の 顔色は
■野辺の草葉に さもにたり
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5 |
味方の兵の 上のみか
言(こと)も通わぬ 敵(あだ)迄も
いとねんごろに 看護する
■心のいろは 赤十字
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3 |
やがて十字の 旗を立て
天幕(テント)をさして 荷(にな)いゆく
天幕に待つは 日の本(ひのもと)の
■仁と愛とに 富む婦人 |
6 |
あないさましや 文明の
母という名を 負い持ちて
いとねんごろに 看護する
■こころの色は 赤十字 |