四季の歌(F)
新編教育唱歌集3(明治38年)

作詞
作曲
作者不詳

1月 あけゆく空の 初霞
うす紫に たなびきて
のぼる朝日の のどけさは
■春の光に なりにけり
7月 蓮の浮葉に 玉見えて
すずしく霽るゝ 夕立の
そらを色どる 虹の色
■神のかけたる 反橋(そりはし)
2月 窓の日影の あたゝかに
梅のつぼみの ふくらみて
鶯きなく をりしもぞ
■野山もなべて かをるなり
8月 きよき渚に 汐あびて
夏の盛(さかり)も わすれけり
磯の松風 波の音
■よるひる盡きぬ 友として
3月 垣根ににほふ 桃の花
南はあかく 北白し
折りておくらん 一枝(ひとえだ)
■初雛まつり する家に
9月 雲はあらしに 拂はれて
くま(隈)なくす(澄)める 秋の月
おもへば今日は 十五夜の
■祭やすらん 家ごとに
4月 汐干にいでて 貝ほれば
あさり蛤 かずおほし
きのふも籠に 満ちにけり
■けふまたゆかん 父上と
10月 野分の風の 音すごく
散りしもみぢ葉 ふみわけて
秋の山路を 朝くれば
■里の板橋 霜しろし
5月 茶摘の歌の はなやかに
はやくも夏は 來りけり
いちごとりつゝ 遊びたる
■故郷(こきょう)の山ぞおもはるゝ
11月 月かげ寒く 風さえて
(なかば)こほれる 池の面に
なにもとむらん 一(ひと)むれの
■雁(かりがね)なきて 下りにけり
6月 門田(かどた)のおもに
(しづ)の女(め)
うゑし早苗の 葉末より
夜はみだれて 飛ぶ螢
■あつめてゆかん わが袖に
12月 ひらひら おつる 白雪に
庭のかれ木も 花をつけ
賤がわら屋も うづもれて
■玉のうてなと なりにけり
●うてな=台/玉のうてな=御殿

歌詞:09/04/10/midi:09/08/08