てのうた「手話詳細」
2006/01/30

■ このレポートはすずききよしさん(以下きよちゃん)の隠れフアンであるlunatyさんがまとめてくださいました。この歌の作者であるきよちゃんのこの歌に込めたお話や手話についての蘊蓄を、とくとご覧ください。レポートいただきましたlunatyさんには、こころより感謝申しあげます。

「てのうた」を愛して下さっている皆様へ
すずききよし
「てのうた」の手話が出来たのは、実はこんな事情だったのです。
 私の長男は、出産時に難産で頭部の一部に器具の圧迫によって障害が発生しました。貧しく苦しい生活の中で、3歳まで首も据わらない、言葉も自由でなく、左手も自由でなく、知能障害もある幼児を抱えて、大変な中で私たちは、労働運動や、うたごえ運動を続け乍ら、その後も3人の子供たちが産まれ、親子6人必死になって生きてきました。

 そしてその子は、小学校では養護学校に行きましたが、中学生になって普通の章学校の養護学級に転校できるようになりました。中学卒業後「ぼくは高等学校に行くより、働きたい」と言い、学校の紹介で現在の勤務先に就職しました。

 中学の頃ギターを教え、左指が不自由なのでピックを持たせ、左利き用のギターで練習させました。少しづつ弾けるようになると、知能も進みだしたのです。その彼が25歳の頃、「ぼくは障害があるから、今まで皆さんに色々お世話になったから、これからボランティアで障害者運動のお手伝いをする」と言って、手話サークルに入り活動を始めたのです。
 私は嬉しくて涙が出ました。その頃、私も障害者運動に関わりを持っていて、岸和田の障害者共同作業所の「なかま」の皆さんが、仕事を覚えて手を使うと、どんどん知能の発育も進んでいくことを実際に見ていて、息子の状況とあわせて、正に人類の進化と労働の関わりを実感して「てのうた」が出来たのです。

 手話の勉強中の息子に教わり乍ら出来たのが「てのうた」の手話でした。岸和田障害者共同作業所の職員や家族の皆さんが、1985年の夏、「すずききよし平和コンサート」を、岸和田まどかホールで、満員で成功させて下さった時、法人化を記念して『てのうた』を息子の作ってくれた手話つきでプレゼントしたのです。
 その時に『多分手話は素人である息子が作ったので、皆さんでどんどん改良して下さい』と言って歌ったのが最初です。
 そんな訳で、皆さんでどんどん聴覚障害者に通じ易く改良してください。




手話:1コーラス目
■その手: (手のひらの向き)左の掌をお客さんの方に向けて開き、右手の人差し指でそれを示します。左右の掌は、ハの字のかたちになりますね。
ための: 左の手で握りこぶしを作ります。(例えば「ずいずいずっころばし、のように」手話の「ためる」の「ため」とおなじです。そして、右の人差し指を軽くその上に置きます。間違っても拳の中に挿入しないで下さい。そしてその後に、左の掌を開いて@の形に移れば「○○のための手」になります。
もの: 右手の掌を親指と人差し指だけ開き、ピストルの形にして、手首をくるくると内外内外とひねりながら右肩のほうから、顔の中央まで来ます。なお、レポートにある「流れの相方(京子)さん」の投稿も参照ください。
つかむ: 左右の両手を顔よりやや前で広げ、鉄棒を掴むように掴むのです。
みんな: 右手の掌を下向きに広げて、左から右へ「グルーッ」と回すのです。
つなぐ: 自分の左右の手を(上下の向きを変えて交互に何回か握手します。
手話:2コーラス目
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手話:3コーラス目
つくる: 両手を「ため」のように拳を握り、上下から打ち合わせるのです。
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教えて「てのうた」手話
髭爺 一般人(2回)-(2006/01/15(Sun) 14:05:43)
 bunbun様、bunママ様
 昨年はお世話になりました。今年もよろしくお願いします。
 さて、私たちのサークルで、すずききよしさんの「てのうた」を、手話付きで
覚えようということになりました。bunbunさんも、この歌をイラスト付きで載せてくださっているのですが、いくつか良くわからない部分があります。くわしく解説して下さる方、いらっしゃいませんでしょうか。特に、
 @ その手(手のひらの向き) / A ための / B ものを / C つかむ
 D みんなと / E つなぐ(となりの人と?) / F つくる
などを、詳しく教えてください。

Re: 教えて「てのうた」手話
すずききよし 大御所(377回)-(2006/01/16(Mon) 00:15:06)
 今晩は。ブンブンさん、鬚爺さん。
 作者のきよちゃんです。さっきまで仕事していて、今風呂から出てきたところです。おけら見て吃驚、でもね。今裸で錬功中ですから。
 風邪引くから明日事務所からカキコします。お休みなさい


Re: 教えて「てのうた」手話
すずききよし 大御所(378回)-(2006/01/16(Mon) 14:52:41)
 髭爺さま。お答えします。
@は、左の掌をお客さんの方に向けて開き、右手の人差し指でそれを示します。左右の掌は、ハの字のかたちになりますね。……… 中略………(下図の手話イラストを参照)

 手話は、言わば当て字ですから、笑顔で「言葉を判って貰おう」と言う気持ちを全身で表現する気持ちで歌いながら、リズミカルに表現してください。
 昨年、東京の築地の保育園の園児達が、まるでお遊戯をするみたいに、ニコニコと、元気一杯に見せてくれました。凄く感動しました。要はハートですね。
 元々は、「障害者(児)作業所」の皆さんが、手、指を使って、簡単な作業を身に着ける毎に、知育が急速に進んでいくことを歌で表現しよう、と作った歌ですが、或る大学教授が「この歌は『世界で最も短い進化論ですね。」と仰いました。「一番の歌詞では、霊長類しか出来ない『掴む』二番では、学習を三番では、『作る』(労働する)で、猿から人類への進化で労働の果たす役割を見事に表現してますね。」とのことでした。
 尚、手、指を使うのは、脳卒中、脳溢血、などや、認知症の治療にも良い結果を出しています。

Re: 教えて「てのうた」手話
webmaster 大御所(1703回)-(2006/01/16(Mon) 18:17:36)
★さすが きよちゃん
 正確+迅速+思いやり………言うこと無しでおます。ありがとうございました。こんな時、この掲示板も「お絵描き」など出来るとと思いますが、そー何回もあるもんでもないし………などと、自己弁護をしてました。

 あれは明日ですね。今日はきよちゃんの思いを込めて「悲しみの向こうの明日に向かって」をBGMにしました。11年目を迎えるのですが、復旧経過はどのようなものなのでしょうか??? 見た目と心的なものはちがいますからね。
 そー言えば、昨年の2月からお目にかかっていませんね。今年も遊びに行きたいですね。きよちゃんが暇な折りに。 (^^)/~~~


Re: 教えて「てのうた」手話
髭爺 一般人(3回)-(2006/01/16(Mon) 22:27:57)
 bunbun様、すずききよし様
 書き込み、ありがとうございました。「のび」のエーちゃんからも、資料をいただきました。早速サークル(千葉と神奈川)で、練習してみたいと思います。
昨年一昨年と、NHKの趣味講座でやっていた「翼をください」の手話をやっていて大好評だったのですが、新しいのを覚えたいねということで曲を探していたら、メンバーの一人がこの歌の楽譜を持ってきました。医療関係のサークルですので、患者さんも含めてやっていけそうで、練習が楽
しみです。
 「悲しみの向こうの明日に向かって」、初めて聴かせていただきました。明日は友人のトランペッター・まっぴらさんが、今年も(毎年行っている)神戸で演奏するそうです。
 髭爺こと吉川敏男でした。

Re: 教えて「てのうた」手話
webmaster大御所(1704回)-(2006/01/17(Tue) 15:19:29)
★こんち 髭爺どの
 さすが「きよちゃん」でしょ。仕事キッチリですよ。見習わなくっちゃネ!お勉強して、サークルでご披露下さい。そんなに難しくはないのでオラでも大丈夫でした。
 今日のTV(民放)で場所は分かりませんがトンペットを吹いている方(眼鏡なし+髭なし)がおりました。曲は忘れました。NHKのTVでも追悼の放送をしてましたが、出てきませんでしたので再確認は出来ず仕舞い。今日は一日、献花の列が絶えない感じですね。
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続「てのうた」手話
髭爺 一般人(4回)-(2006/01/25(Wed) 21:20:00)
 bunbun様、すずききよし様
「てのうた」手話の件では、丁寧に教えていただいて、ありがとうございました。でも、実際に始めてみたら、1ヶ所だけどうもすっきりしないので、改めて教えてください。
 それは、「もの」を表す手話です。
「親指と人差し指で輪を作り、手首を手前にひねる」と教わった、という人がいるのです。親指と人差し指を開くのか着けるのかの違いです。「もの」というのは漠然としていて、きよちゃんの教えてくれたのも、この人が教わったというのも、どちらも正しいのかもしれませんが、詳しいことがわかったら教えてください。

Re: 続「てのうた」手話
webmasterl 大御所(1712回)-(2006/01/25(Wed)
★んばんは 髭爺さん
 12月の髭爺photo、ダンケシェーンです。今度は「♪呑んでー呑んでー 呑まれて 呑んでー」と 朝の乾杯でもいたしましょう。って、春になんないとなぁー………。その前に「♪春ーよ来い 早ーく来い」か。(>_<)
 随分凝ってますね。いやいや方でなく「手」の方に。んーここは、東北を代表する手話の大家にお願いしましょう。んじゃ、kyoukoちゃん、よろしくお願いいたします。 m(_ _)m (^_^)/~

続々「てのうた」手話
流れの相方 一般人(3回)-(2006/01/26(Thu) 11:47:18)
 寒中お見舞い申し上げます。
 ご無沙汰してました。名前が出てきたのでちょっとお邪魔します。
 手話に“モノ”という手話表現はありません。きよちゃんが表現しているのは“いろいろ”という手話表現だと思います。それは“ちがう”という手話を横移動させることによって、違う違う違う、と繰り返して“様々な種類のもの”という表現になるのです。
 また髭爺さんのお知り合いの方がおっしゃってらしたのは、多分指文字で“モノ”と表現されたのだと思います。“モ”というのは手のひらを上にして、人差し指と親指だけを伸ばし、あとは握って、広げていた指をぶつけます。また、“ノ”は人差し指一本を、前に向け空中にカタカナの“ノ”を書け
ば表現できます。文章にすると難しくなってしまいますが……(ここに絵が書けるといいのにね)。
 手話はこれは間違いということはありません。様は気持ちです。伝えたい! という気持ちがあれば不思議なほどに通じるものです。歌を手話で表現するのをきっかけに、手話に興味をもってもらえるととても嬉しいです。
  京子ちゃんでした まる

Re: 続々「てのうた」手話
webmaster 大御所(1713回)-(2006/01/27(Fri) 16:24:04)
★こんち 相方さまぁー
 どーもね、分からん事があるとすぐ「ふっちゃえ!」なもんですから。解説どーもありがとうございました。
 手話=気持ちですか。そー言えば、某高校に耳の不自由なマラソンランナー(名前は忘却)が来てワラハンドにしゃべっていましたが、身振り手振りでも、自分の気持ちを相手に伝えることが一番大切と言ってましたね。そっかー!と思わずうなづき、「んじゃー、手話なんていつでも出来るさ」を決め込んで爾来10数年、その間に、記憶力と気力がすっかり低下してしまいました。
 やっぱね、何事若いときが「洟」じゃないって「華」なんすよ!! ああ、メンタルつまり自認じゃなくって、フィジカルにってーことです。よく言うでしょ、若いときの苦労は買ってでもやれ!!ってさ。
 そっち方面、青空だらけでしょ。お日様、宅急便で送ってくんないかな。雪とかしたんだよなー………。(^^)/

Re: 続々「てのうた」手話
髭爺 一般人(5回)-(2006/01/27(Fri) 17:34:47)
 bunbun様、京子様
 いろいろ教えていただいて、ありがとうございます。 友人が手話の辞典を持っているのですが、そこにも「違う」を連続させて「いろいろ」とすると出ていました。この場合は、単一や固定された「もの」ではなくて、「いろいろ(さまざま)なもの」というところから、この形になったのだろうと推察されますね。
 ただ、この辞典には「もの」についての手話も出ています。それは、親指と人差し指の先をつけて、いわゆる「お金」をつくり、手首を返して横向きに手のひらを自分の方に向ける、というものでした。お金で買ったものという表現でしょうか。
いずれにしても、皆さんの御協力で、かなり確信を持って、練習に入れそうです。

 実は、昨年と一昨年の2年間にわたり、NHK趣味講座でやっていた「翼をください」を、手話付きで歌っていましたが、新しい曲が欲しくてようやく「てのうた」にたどりつきました。bunbunさんの言うような「凝っている」ではなく、サークル員から疑問が出された時に、「ここに出ているから、その通りやればいいんだよ」ではなく、なるほどと思える答えを提示できればと思ったのです。それが、この「てのうた」にふさわしい歌い方だと思います。
 この歌、歌っていると胸が熱くなります。学習して・行動して・連帯して。本当に、今必要なことばかりですよね。いい歌にめぐりあえました。「きよちゃん」ありがとう。
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Re: 続々「てのうた」手話
すずききよし 大御所(382回)-(2006/01/27(Fri) 23:53:26)
 一番最初にありますので「全略」いたします。ごめんね、きよちゃん!

Re: 続々「てのうた」手話
samy mail ファミリー(183回)-(2006/01/28(Sat)
 手のうたとその手話が同時に生まれたエピソードますます、この歌と手話が大好きになりました。きよちゃん ありがとうございます。

Re: 続々「てのうた」手話
髭爺 一般人(6回)-(2006/01/29(Sun) 17:56:00)
 きよちゃん 素晴らしいお話を、ありがとうございました。
 また、「もの」を「いろいろ」という手話で表現したのは、本質的で的確なものだったと思います。ただそのこと自体を、きちんと説明することが必要ですね。そうすれば、歌(手話)への思いもさらに深まると思います。
 bunbun様、京子様、きよちゃん、重ねてありがとう。
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有難う鬚爺さま、皆様
すずききよし 大御所(383回)-(2006/01/29(Sun) 22:39:48)
 鬚爺様、そして「てのうた」を可愛がってくださる皆様。今晩は。
 本当に有難う御座います。本当に翻訳って難しいですね。実は、仰るとおりに「もの」について悩んだのです。
 で、結局単純化して、今の形にしていたのですが………。 「もの」が所謂「物質」としての「もの」とは言い切れず、抽象的な側面もあるのですよね。
 1コーラスは、出発点は霊長類が、第1指と他の指が対向して屈曲する為に、「物・(木の枝)」を掴む事が出来て樹上生活が得意だった事、だから「樹から降りてサバンナで生活する様になった時、手を自由に使える様になった。
 そのことは2足歩行の能力を習得する為にも、大きな成果を挙げる事が出来た。」又「2足直立歩行」が脳の成長に極めて大きな役割を果たす事は、「周防の猿回しの復活」に際しての、観察取材で私自身が確認したことでもあります。(脱線失礼)
 本能的に掴む事の上手な小猿に、太鼓の撥を握らせ、頭の後ろに掛けます。すると2足で直立します。そうして背筋を何度も擦り、背筋をマッ直ぐにして歩かせるのです。
 この課程を終えてから訓練すると、普通のお猿の何十倍も速く芸を覚えるのです。これ以上は企業秘密ですから言えません。

 話は戻って、「2コーラス目では、手を使う様になった霊長類は、学習力が著しく上昇した。」この事実は共同作業所や、養護学校における技能指導でも大きな成果を挙げているし、高齢者の脳梗塞や脳出血による障害のリハビリの時の、指の運動の果たす
大きな役割からも実証できます。この「ものを学ぶ」は当然物質の「物」では有りませんしね。
 実は、英訳する時にも悩んだのです。「もの」を「つかむ」の「もの」も「つかむ」も・・・。掴むでも、攫むでも、把むでもないし、「ホールド」でも「キャッチ」でも違うし………。

 3コーラスでも「ものをつくる」は「作る」にしていますが、これも単純化して、物質の「ものを作る(造る)」にしていますが、「幸せな未来社会をつくる」であれば、「創る」でもある訳で、この歌ほど悩んで悩んで創った歌は、私自身も珍しい程です。
 因みに「プロの囲碁や、将棋の名人達人達は、姿勢を正し正座して戦ってますね。脳の活性の為に知能の発達の為には、背筋を伸ばして、正しい姿勢をとる事が(血液の循環)重要な様です。
 脱線しましたが、煎じ詰めた所で、手話の手指の動きも大切ですが、それに劣らず重要なのは、「言葉をはっきり唇を動かして、発音しながら、出来るだけ明るい豊かな表情で、伝えようと言う心を前面に出して、全身で表現することが大切だ」と、聴覚障害
のある方のご意見でした。
                     きよちゃんでした。
P,S 今後とも私の作品に遠慮なく貴重なご意見を聞かせて下さい。大変勉強になりました。

Re: 有難う鬚爺さま、皆様
webmaster mail 大御所(1716回)-(2006/01/30(Mon) 12:09:58)
★こんち きよちゃん
 んーすんばらしい!!「てのうた」にそんな経緯があり、手話の中にこんなに深い思いが込められていようとは………。どーもメンタルというより生活のインフラというか土俵というか、そこら辺がジェンジェン違うんですね。オラノはビーフーウーの藁の小屋みたいなもんですね。
 メグサガリ屋(恥ずかしがり)のlunatyさんという方が、ここ一連のてのうたシリーズにいたく感動して、レポートにまとめてくれました。そのうち「てのうたレポ」としてupしたいと思っています。(しかし、あのレポ、どーやってUPすんのかな???)
 ここに直接はカキコしないものの、心に深く刻み込んでいらっしゃる方が沢山居ると思います。これからも陰付け陽に付け、きよちゃんのお話をお聞かせくださいませー。
Re: 有難う鬚爺さま、皆様
bunママ 一般人(1回)-(2006/01/30(Mon) 14:53:49)
 きよちゃん、吉川さま、京子ちゃん、サミーさま、皆さまのカキコで、思いを新にしております。
今後「てのうた」を歌う時、聴く時は、深く心に刻んで参ります。本当に有難うございます。
 これからも、おけら掲示板をよろしくお願いいたします。
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