大地に咲く花【G】

原詩 渡辺 咲地
曲詞 渡辺咲地 石塚美穂 山本恵子 安広真理
山本忠生 石黒真知子


星も凍るような夜 小さな蕾が生まれた
命のまばたきは 優しい手に受け止められた
 ■ありがとうお母さん ありがとうありがとう
 ■暖かな大地に しっかり立って
 ■笑顔を咲かせて 花になろう

くり返される心配のタネ
弱音も忙しい姿も 私は知らないで
笑顔とともに 育てられた
 ■ありがとうお父さん ありがとうありがとう
 ■暖かな大地に しっかり立って
 ■笑顔を咲かせて 花になろう

歌と友達があり
私の出逢いが広がって 明日につながる
楽しい道を 歩いて行こう
 ■ありがとうありがとう ありがとうありがとう
 ■暖かな大地に しっかり立って
 ■笑顔を咲かせて 花になろう




新おけら歌集(06/04/03) / 楽譜:ビーさん(06/04)

■2006年4月2日、バラライカの「昼うた」で一緒になった渡辺咲地さんからいただいた曲。何でも全国のうたごえ創作合宿で仙台にお出でになったとか。参加者の作品の中で最優秀とのことでした。一緒だったエーちゃんのお話だと、うたごえ協議会の事務局長の小沢さんが泣きながらの講評であったということでした。渡辺さんは、曲の通り素直で可愛いらしい方でした。
bunbun
■この歌の作者である渡辺咲地さんの創作合宿へ参加しての感想文をいただきました。渡辺さんから了解を得ましたので、掲載いたします。合宿での様子が、とても生き生きと表現されて、素晴らしいレポートだと思います。皆さまの創作活動の参考にしていただければ幸いです。
(06/04/08 by bunbun)
創作合宿(06/03/31-04/02・仙台秋保温泉)
文責:にんたま合唱部(東京)・渡辺咲地
はじめに「ちいさなきっかけで」
 正直初めは、創作合宿に参加する予定はありませんでした。遠い仙台に行くこともそうですが、普段詞を書くこともなく、ましては、楽器もできず、どうやって創作曲を作るのか・・・という不安が大きかったからです。また同じサークルで参加する人がいなかったからというのも、参加できない理由でした(現地に行ったらにんたま合唱部から2人がすでに参加済みでした)。 あるとき「創作合宿、行ってみない?人数少ないんだって」というお誘いの電話が、かかってきました。それが小さなきっかけとなり、「行ってみようかな」という気になりました。そう、私はちょっとしたことがきっかけで、思い切った行動をしてしまう人なのです。

詞を作るということ
・「藁の家につき、まず私が思ったこと」
 「知らない人ばかり。大丈夫かな」でした。石黒真知子さんの講座が始まり、言葉に命を吹き込むということについて学びました。今まで学ぶことなかった「詞」の世界に引き込まれ、それがとても新鮮で、私の頭に「知識」としてぐんぐん吸収されていきました。そして、この講座がその後の私の「詩」作りに大きな影響を与える講座となりました。

・さぁ、これから「詞」作り!となり、私がまず始めにしたことといえば、今までノートに書き溜めていた「人からもらった言葉集」の中から「詞」に使える言葉を捜すことでした。“自分らしく・ありのまま・がんばらないでいいよ・大丈夫”などの言葉があがり、それをもとに喫茶店や、近くの古本屋さんをうろうろしながら、ひとつの「詞」が出来上がりました。
 その詞を、藤村さんに見てもらい、「詞の情景が見えてこない。言葉が箇条書きになっているから、言葉について詳しく書いてみては?」というアドバイスをいただきました。その後、石黒さんに同じ詞を見てもらうと「いまどきに“ありがち”な詞だね。自分の言葉で表現して、自分の言いたいことを書いてごらん、あなたが人に伝えたいことは何?」というアドバイスでした。確かに・・・、その詞には自分の言葉が一つも入っていませんでした。

・その後 「しっかり地に足をつけて、どこで咲ける花になる」という文をみて、「この一文だけ妙に浮いて見えるんだけど、これはどこから考え付いた言葉なの?」という鋭い質問。実はこの一文、私の“咲地(さち)”というなまえの由来なのです。そのことを伝えると「いいじゃない!この言葉だけで、もっとイメージをふくらまして詞を書き直してごらん。大丈夫!できるから」。その言葉に背中を押してもらいながら、締め切りまで、残り30分弱というところで「大地に咲く花」の原詞が出来上がりました。
詞を変え、曲をつけるということ

・詞の発表会で、たくさんの人に、私の詞を選んでいただき、いざ曲(歌)作りへ。そこで致命的(それほど大げさではないが)となったのが、私の“頭の固さと、ボキャブラリー&語彙の少なさ”でした。もともとあった原詞から、歌いやすくするため、真の意味を変えずに言葉を変える。これがなかなか難しい。ひとつの言葉についていろいろない“言い方”を考える。まず私の想いがあって、それにあった言葉を選ぶ。「これから」という言葉一つとっても「明日・未来・ずっと・永遠に」と何通りも考え歌詞として当てはめていく。

・そこで難しいのが「真の意味を変えず」というところ。山本さん(ちゅーやん)・石黒さんにも手伝ってもらい歌詞をつける。「ここの言葉では、何がいいたいんや、他の言い方を考えてごらん(山本)」「ビジュアル的に詞にしてごらん(石黒)」と、たくさんのアドバイスをもらいつつ、自分の意志は曲げず、同じチームのみんなと考える。時すでに深夜0時を回る。

・その後・・・原詞が出来上がり「大地に咲く花」というタイトルまで決まり、安広真里さんのピアノで詞のイメージから曲をつけていく。音符も休符も、コードもあまりよくわからない私は、他のメンバーと一緒に「ここはこんな感じ」という風に注文ばかりつけていました。それに合わせてピアノを弾いてくれる安広さん。「この言葉はしっかり言いたい(伝えたい)から、この音符と、休符ね」と、言葉のイントネーションに合わせて音をのせていく作業は見ていてそして自分たちも少し手伝うことで、詞への思い入れが深くなっていきました。

・「やったー!」詞も曲もついた。あとは明日歌を覚えよう!と思ったとき・・・「いい感じにできてきたなぁ。」と、たかだりゅうじさん、きむらいずみさん登場。出来たての歌を歌ってみる。聞きながら詞に目を通す二人。その後二人がいったこと、それは「言葉の意味が、コトバの使い方で伝わってこない」でした。それはこの一文、「大地にしっかり立って、いつでも咲ける花になる」が「大地にしっかり立って、いつでも裂ける花になる」という意味にとって聞こえるということでした。なるほど!聞いてみないとわからないもので、じゃあこの言葉を「咲ける」じゃなくてどうするか?という話し合いになりました。時すでに深夜2時。意識も遠のく深夜2時(笑)

・私が伝えたいこと。それは「どこにいっても、どんな場所に種が蒔かれても、しっかり地に根をはり、自分の花を咲かせる」ということでした。それだけは絶対に曲げたくはなくて「“どこでも”じゃなくて、“いつまでも”はどう?“咲ける”じゃなくて“開く”は?」というアドバイスをくれる、大先生たちを目の前に「それじゃ、詞を書いた意味がないんです。“地に咲く”という“咲”と“地”という字がが入ってることが重要なんです!!!」と、必死に抵抗(?話を?)していました。考えてみれば、今までの人生の中で、これだけ、自分の意見をはっきりいって、それも通したことは初めてでした。これも新たな一面。「お!けっこう私っていうときはいうじゃない!」とこんなときでも感心してしまいました。戦い(?!)の末、今の「歌」が出来上がりました。(ちなみにこのとき深夜3:30)

●自分の想いを伝えるということ
・今回創作活動をしていく中で、自分の想いを伝えることの大切さを改めて知ることができました。今回の「詩」の中に何度もでてくる「ありがとう」という日常の何気ない言葉。この五文字に込められた、想いの重さをしっかりココロに持ち、うたっていきたいと思います。歌の中だけでなく、素直に「ありがとう」といえるようになりたいです。(創作合宿後、うたごえ喫茶バラライカに行き、そこで出逢った人に、この歌の手話をつけてもらいました)


●さいごに「創作合宿に参加しておもったこと」
・はじめは「自分の歌ができる!」という「自分が自分が!」という意識が強く、本当に「自己満足の曲作り」、「私の歌作りにこんなにたくさんのスゴイ先生たちが一緒に考えてくれるなんて!」と思っていました。本当に周りが見えず一人て突っ走っていったように思います。しかし、自分の想いをみんなに伝え、言葉を考え選び、曲(歌)作りをしていく中で、「この詞で言いたいことって、実は、私だけじゃなくてみんなにもいえることなんじゃないかな」と思うようになりました。そしてそう思うようになってから、みんなからの意見を「聞ける」ようなりました。一緒に歌作りをしている人から「私だったらこう思う、こういう言葉を使うと思うよ。どうかな?」というアドバイス、話を聞くことがなかったら、ここまで素敵な歌はできなかったと思います。

・ 「大地に咲く花」・・・この曲を発表する時間となり、安広真里さん、山下恵子さん、石塚美穂ちゃんと一緒に、みんなの前へ・・・。曲が出来上がったうれしさと、自分の想いを本当に伝えたかった人に、素直に伝えられなかったことへの想いがこみ上げてしまい、歌う前にひとりで号泣・・・。せっかくの歌が涙で歌えず。同じグループの人のうたごえと、安広さんの曲、そしてみんなで作った「詞」を通して、想いが伝わればいいなと思いました。

・さいごに、この曲作りを一緒にしてくれたみなさん、創作合宿に参加されたみなさん、この曲ができる創作合宿に参加するきっかけを作ってくれたひとへ 素直に「ありがとう」と伝えたいと思いました。ありがとうございました。