■レニンクラードの百賃店で
これも映画「百貨店」の主題歌である。二つの国営百貨店のトラブルを中心として、新しいソ連を背負う著い男女の愛情が描かれているのだが、コムニズム国家の建設と、個人の生活、男女の愛情といったギャップが皮肉にも意識していないのだろうが、出ていて面白い。
曲はなかなか可燐な感じのするメロディーで、ひとりの娘の愛情が、素直によく流れている。
この映画と歌には非常にソヴェートらしい政治的感覚と目的が盛られている。前に紹介した「玄関で」もそうだが、ソヴェートでは男女の愛情は国家的目的である建設(あらゆる部門の)に挺身していく過程に劣然的に芽生えるものだ、と強調されていることだ。それをいまこの国は、こうした可燐なメロディーの中に不自然でなく盛ることに成功した。 |
1960/01/28 百瀬三郎【島村喬】 |
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