コサック【Gm】

詞曲
訳詞
コサック民謡
津川 主一


さびしき山邊の 樹立(こだち)のもと
若き強者(つわもの)は そこに倒(たお)
  ■死も早やせまりて 眼(まなこ)かすむ
  ■故郷に在(おわ)す 母君よ
  ■いまわの言葉を 聴かせ給え

許させ給えや 過ぎにし日を
な嘆き給いそ 我はコサック
  ■友どち来たりて ともに歌い
  ■いさみて亡きがら 葬(ほうむ)らん
  ■若草萌えたる ひろ野原に



新おけら歌集(18/03/03)ロシア混声篇 / 楽譜:bunbun(18/03)
■スラブ民族間には哥薩克(コサック)の勇武を歌った民謡が非常に多い。彼等は廣漠として際涯を知らない平原を縦横に馬で乗り廻し、征戦の事に従って生涯を終わり、多くは異境の空で戦死するか陣没するのが常だが、これも故郷遠く離れた適地で重傷を負い、今や将に鬼籍に入ろうとして故郷の母を思慕する切切の情を歌ったもので、曲想もこれを現わし、そぞろに落涙せしむる何物かを持っている。
 和声的には縷々ユニゾンが用いてある。これにより西欧的な和声づけと異なった、プリミティヴなスラヴ民謡の味を出したつもりである。(津川主一)