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妻をめとらば才たけて
みめうるわしく情(なさけ)ある
友をえらばば書を読みて
■六分(りくぶ)の侠気
■四分の熱
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2 |
恋のいのちをたずぬれば
名を惜しむかな男(おのこ)ゆえ
友の情をたずぬれば
■義のあるところ
■火をも踏む
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3 |
汲めや美酒うたひめに
乙女の知らぬ意気地あり
簿記の筆とる若者に
■まことの男 君を見る
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4 |
ああ我コレッジの奇才なく
バイロン・ハイネの熱なきも
石をいだきて野にうたう
■芭蕉のさびを よろこばず
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5 |
人やわらわん業平が
小野の山ざと雪をわけ
夢かと泣きて歯がみせし
■むかしを慕う むら心
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6 |
見よ西北にバルカンの
それにも似たる国のさま
あやうからずや雲裂けて
■天火一度 降らんとき
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7 |
妻子を忘れ家を捨て
義のため恥を忍ぶとや
遠くのがれて腕を摩(ま)す
■ガリバルディや 今いかに
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8 |
玉をかざれる大官は
みな北道の訛音(なまり)あり
慷慨(こうがい)よく飲む三南の
■健児は散じて 影もなし
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9 |
四度(しど)玄海の波を越え
韓(から)の都に来てみれば
秋の日かなし王城や
■昔に変る 雲の色
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10 |
あゝわれ如何にふところの
剣は鳴りをひそむとも
咽(むせ)ぶ涙を手に受けて
■かなしき歌の 無からめや
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11 |
わが歌声の高ければ
酒に狂うと人のいう
われに過ぎたるのぞみをば
■君ならではた 誰か知る
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12 |
あやまらずやは真ごころを
君が詩いたくあらわなる
無念なるかな燃ゆる血の
■価少なき 末(すえ)の世や
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13 |
おのずからなる天地を
恋うるなさけは洩らすとも
人をののしり世をいかる
■はげしき歌を ひめよかし
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14 |
口をひらけば嫉みあり
筆を握れば譏(そし)りあり
友を諌めて泣かせても
■猶ゆくべきや 絞首台
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15 |
おなじ憂いの世に住めば
千里のそらも一つ家
己が袂をというなかれ
■やがて二人の 涙ぞや
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16 |
はるばる寄せしますらおの
うれしき文を袖にして
きょうは北漢の山のうえ
■駒立て見る 日出づる方
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