■この「俺達の恋」は、腰痛症と闘う音楽劇『創作合唱劇「俺たちの職場から」』の曲一つですが、以下は、合唱劇の台本の一部(この曲が出てくる前後)です。
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by lunatyさん |
小林:毎日毎夜の疲れが重なるものだから 知らず知らずのうちに、俺らの身体が病魔に冒されていた 二十歳代のまだ若いこの身体が ぐっと力をこめて 鉛版を高々と差し上げてみたい 顔を赤く染めて 思い切りリフト車を押しまくってみたい だのに・・・・・・ 作業開始のブザーの音に、思わず腰に手を当てるなんて 病魔が俺らの幸福を奪う 枯れ木が風雨にさらされて、ボロボロに倒れていくように 俺らもやがて倒れてしまうのではないだろうか あの枯れ木のように、倒れてしまうのを 手をこまねいて、待っているしかないのだろうか 俺らはまだまだ生きたい ぐっと力をこめて 鉛版を高々と差し上げてみたい |
ナレーター:[患者日記を朗読] “八月十三日。 入院してから5日たった。今日は昼から、ミツちゃんが見舞にきた。 いつも俺の身体の事を、一緒に心配してくれて嬉しいけど、俺の腰のこと を考えると、かえって苦しくてしかたがない、一年前、ミツちゃんや仲間 と小豆島へ行って思い切り遊んだことを思い出す・・・・・・ ”
[舞台、溶暗、小林にスポット当たったまま、ナレーターにかぶさって
合唱始まる]
―俺達の恋― 夏の夕日は、海を照らして赤く 恋人のひとみは輝く 貧しいくらしに負けないで、いつくしみ育てた俺達の恋 平和な平和な瀬戸の海辺よ さらに赤くもえ上れ 愛し合う二人の
喜こびのように [「愛しあう」からハミングで繰返し] |
小林:エイ、クソ! なんでこんな腰になったんや、一人で何もできない腰に、なんでなったんや。
―俺の身体を返してくれ― 去年の夏 君と二人で砂浜を力いっぱいかけたのに 今は冷たいベッドにたたきつけられ ただ想い出を追うだけか 二人でみた赤い夕陽は 俺れにはかえってこない かえしてくれ かえしてくれ 真っ黒に日焼けした俺らの身体を 若い俺らの身体を かえしてくれ! [暗転] |
ナレーター:[ナレーターにスポット][患者日記朗読] “まだここに来てから一週間というのに、もう一ヶ月も経ったような気持ちだ 今日、午後からいよいよ手術 手術が始まるまでの数分間・・・・・・「逃げて帰りたい」「激しい痛みや足の 痺れはほんまに治るやろうか。もし手術が失敗して半身不随になったら・・・」 手術が始まる。上から下へ、メスがジジーと音を共に移動した。 「ウムン・・・」露出している軟骨をケズリ取る手術、コーン、コーン、音が 頭の芯までこたえる。背中全体が痛む、 「俺をケズルのは、ヤメテクレ・・・・・・」 ” [暗転] |
………………以下省略……………… |