春 |
雪は消えねど 春はきざしぬ
風はなごみて 日は暖かし
氷河のほとりを 滑りて行けば
岩陰に咲く アルペンブルーメ
■紫匂う 都を後に
■山に憧れ 若人の群れ
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秋 |
星影さやかに 空澄み渡り
葉ずえの露に 秋立ちそめぬ
金と銀とに 装いこらし
女神のごとき 白樺の森
■紅(くれない)燃ゆる 山より山へ
■行方も知らず さすらい行かん
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夏 |
エーデルワイスの花 ほほ笑みて
鋭き岩角 金色(こんじき)に照り
山は目覚めぬ 夏の朝風
乱雲おさまり 夕空晴れぬ
■命のザイルに 我が身をたくし
■思わず仰ぐアルペングリューエン
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冬 |
吹雪は叫び たそがれ迫り
求むる小屋の在処(ありか)も知れず
ああこの雪山 ちょうじょうとして
シーロイファの 行く手を閉ざす
■ああこの雪原寂漠(じゃくばく)として
■寒月鋭く シュプール照らす
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結 |
ああ玲瓏(れいろう)の 雪の高嶺に
心静かに 頂に立ち
尊き山の 教えを受けん
身も魂も けがれは消えて
■永久(とわ)に輝く 白光(びゃっこう)のうちに
■清き幸をば 求め得るらん |