2007年2月9日(金)

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うたごえ喫茶 熱気再び/団塊世代情報交換の場

 青春時代の歌声よ、ネットに響け−。楽譜を手にみんなで声を合わせる「うたごえ喫茶」の世界に今も魅せられ、「うたごえサークルおけら」を主宰している元高校教諭、佐藤英文さん(61)=深浦町深浦=は、ホームページ(HP)で、うたごえ喫茶全盛期のころに歌われた曲などを音楽データにして多数紹介している。HPには、かつてうたごえ喫茶に通った全国各地の団塊の世代が集い、情報交換の場となっている。

 「おけら」は、うたごえ喫茶全盛の一九六〇年代半ば、町内の二十代の若者たちが集まり結成した。三十人ほどのメンバーが毎週公民館や喫茶店などに集まっては酒を酌み交わし、リーダーの佐藤さんを囲んでハーモニーを楽しんでいた。

 しかし、八〇年代に入りブームが衰退すると「おけら」の活動も休止状態に。町に過疎、少子高齢化の波が押し寄せ、さらには個人の娯楽が増えたことで、若者が集って歌う機会が失われていった。現在、「おけら」のメンバーは佐藤さんと妻・英子さん(59)の二人のみ。しかし、「うたごえの素晴らしさを広めて、いつかまた、たくさんの人と歌いたい」との思いから二〇〇〇年、HP「うたごえサークルおけら 深浦のうたごえ」を開設した。

イベントを開催

 HPでは、青春を彩った数々のメロディーを、電子音楽の規格であるMIDIで作った音楽データのファイルにして歌詞とともに紹介している。労働歌や「トロイカ」などロシア民謡、「雪の降る町を」といった叙情歌など、ファイル数は現在千二百を超える。もちろん音楽著作権使用料を支払っており、歌への情熱は並ではない。

 HPを訪ねた人は好きな歌を選び、パソコンから流れる伴奏に合わせて歌うことができる。いわば「バーチャル・うたごえ喫茶」だ。HPには、かつてうたごえ喫茶に通った人たちが全国から集まり、掲示板は情報交換の場となっていった。

 そして、「もう一度あのころのように、みんなで歌いたい」と言い続けてきた佐藤さんの願いは、HPに集う仲間の支援で実現する。二〇〇三年十月、同町の中央公民館でうたごえイベント「深浦のうたごえ」を開催。HP開設後はバーチャル・サークルだった「おけら」が現実のサークルとして三日間だけ復活した。県内のみならず東京、神奈川、福岡など県外からも参加者が集まり、六十人以上が輪になって歌った。

廃校の校歌も

 「まさか、再びうたごえ喫茶を地元で楽しむことができるとは思わなかった。これもHPで全国に仲間のつながりが広がったおかげ」と佐藤さんは話す。イベントは好評で、その後、毎年十月に開催している。HPで聴ける音楽データにはこのほか「深浦の校歌集」もあり、岩崎地区を含む同町に現在あるすべての小、中、高校と廃校になった学校の校歌を紹介。卒業生はいつでも懐かしのメロディーを聴くことができ好評だ。

 HP「うたごえサークルおけら 深浦のうたごえ」のアドレスはhttp://bunbun.boo.jp/

※写真=掲示板への書き込みを見るのが楽しみーと話すHP作成者の佐藤さん