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熊本城は 賊軍の
かこみを受けぬ 十重はた重
此のおもむきを 本營に
■傳へる人は あらざるか
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4 |
再び 捕へられたるも
計介わざと 泣き叫び
臆病者と 見せかけて
■人夫のうちに 使はれぬ
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2 |
伍長 谷村計介は
谷将軍の 命を受け
きっと覚悟の 胸を据え
■密かに城を 抜け出しぬ
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5 |
またも巧みに 遁れ出で
高瀬と云へる 所なる
第一旅團に 達す得て
■大事の使ひを 果しけり
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3 |
たまたま賊に 捕へられ
厳しき責に 遭うひたれど
守りの兵の 目を掠め
■縄ひきちぎって 遁れたり |
6 |
此の時 計介嬉しさに
言葉も急に 出し得ぬを
旅團長をば 始めとし
■感ぜぬ者ぞ なかりけり |